その少女、国造りに奔走する
-第48話-
『ここ、か…』
たどり着いた家。
『すみません』
軽く戸を叩き声をかけるが、返事はない。
『あれ、いない?』
「見て来ましょう」
ゆら、と影が揺れ、左近は離れた。
「家には誰もいないようです」
『そう、ありがとう』
「いえ。どうしますか?」
『うーん…』
「あんた、何か用なのかい?」
扉の前で考えていると、初老の男性が話しかけてきた。
『いや、えぇと……』
いきなり声をかけかれ、廉夜は口ごもる。
「そこんとこの兄弟なら、関わらん方がいいぞ」
『え?』
「兄ちゃんはまだいいが、弟は荒れてっからなぁ………この前も、郷長に殴られてた」
『殴られた…?』
「あぁ、ここらを治めとるからと威張って民を下に見とる。文句を言いたいのもわかるが………そんな事しちゃぁ、どうなるか…」
『……そう、ですか…』
「関わると嬢ちゃんも目を付けられちまうぞ」
男性はそう言って、去ってしまった。
「主上、どちらへ?」
『郷長とやらを見てみようかな』
「それは……」
『全然宮から出てない。たぶん、私の顔なんて知らないよ』
廉夜は家を離れ歩き出した。
少年宅にて、諦聴.