その少女、国造りに奔走する
-第46話-
「廉夜ちゃん、出掛けるのか?」
『え、あ……ちょっと…』
「危ないし、俺も一緒に行くよ。街の様子も気になるし」
『ありがとう、慶ちゃん』
先日、妖魔に襲われたばかり。
恐る恐る、外に出ようとする廉夜に、慶次は着いて行くと言った。
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『………』
相変わらず、街は瓦礫がところどころにある。
どこか悲し気な目で街を見る廉夜と慶次。
そんな時―――
「どけっ!」
廉夜より、頭1つ分ほど背の低い少年が、彼女を押し退けた。
『わっ!』
「のろのろ歩いてんじゃねぇ!!」
少年はそう言って、走り去ってしまった。
『……何、あれ…』
「あぁ、…確か…」
『知り合い?』
「いや、詳しくは知らないけど……あいつさ、先王の時代に両親を亡くしたらしい……それで荒れてんだよ…」
『先王…』
「戦に巻き込まれたんだとか。王が領地を広げる際に、ね…」
『……そう…』
現女王、廉夜。
先王と知り合いという慶次。
二人は少年が去っていった方向を、静かに見つめていた。
その少女、街を歩く.