その少女、国造りに奔走する
-第45話-
「……ふむ…」
廉夜から届いた文を見ながら、大谷は深く息を吐いた。
それと同時に、部屋に入ってくる三成。
「刑部、どうした」
「主上からの文よ。先ほど左近が持ってきた」
「廉夜からの文だと?!」
大谷の言葉に、三成は身を乗り出した。
「今は杖身の元に身を寄せているらしい」
「杖身だと…?」
「名は、雑賀孫市。なかなか腕が立つと聞くが……」
「雑賀、孫市…?」
噂などには疎い三成。
首を傾げている。
「…杖身の元に身を置くとは……主上も考えたなぁ……宿に泊まるより、はるかに安全よ」
本当はただの成り行きなのだが、大谷は感心しているようだ。
「そうか、杖身の元に……そうか……」
「三成、いい加減落ち着きやれ」
廉夜が気になって仕方がない三成。
麒麟の性だとわかっていても、苦笑せずにはいられない大谷だった。
その麒麟、喧噪.