その少女、国造りに奔走する
-第41話-
「ところで、主上」
『んー?』
「あの、慶次という男ですが……」
『慶ちゃん?』
「前田慶次、加賀の王の甥です」
『え…』
加賀の王の甥。
王が即位する時に、仙籍に入ったとか。
しかし、風来坊と呼ばれる彼は縛られる事を嫌い、王宮を飛び出し、ふらふらしているとか。
さまざな噂を聞いた事があるが、まさかこんなところで会うとは…。
「詳しくは知りませんが、先王と知り合いらしく、私も何度か見た事があります」
『そうなんだ…』
突然の事に、廉夜は驚き、動きを止める。
そんな時―――
―――ポツ
『え、』
天井から水。
『雨…』
窓を覗くと雨が降っていた。
しばらく眺めていると、雨はあっという間に激しくなる。
『大変だ!』
雨足が強くなると同時に、天井から落ちる水、雨漏りも酷くなり、床はもうびしょ濡れ。
『孫市さん、タライかバケツないですか?!』
「すまない、雨漏りの事忘れていた」
埃まみれだった部屋もだが、雨漏りの事を忘れていた孫市に、廉夜は不安になるのだった。
その少女、先行き不安.