その少女、国造りに奔走する
-第40話-
空き部屋を使えと言われたので、入ってみると埃まみれ。
『こんな、もんかな?』
掃除を終え、満足気に部屋を見渡した。
「主上に掃除をさせるとは、あの女…」
『左近、しっ!』
影の中から、なにやら怒りの混じった声が聞こえ、廉夜は焦る。
『お世話になるんだから、これくらいしなきゃ。前はよくやってたから、平気だよ。気にしないで』
「しかし…」
『三成には怒られそうだから、言わないでね』
「………はい」
しぶしぶ返事をしてくれた。
確かに、あの麒麟に知られたら大変な事になりそうだ。
『でもさ、杖身をやってる人の家だよ。普通の宿より安全だと思う』
「まぁ、それは言えてますね…」
影の中から、楽しげな声が聞こえた。
黒狼、主の身を案ずる.