その少女、国造りに奔走する
-第38話-
「どうした?どこか痛むか?」
『大丈夫です。ちょっと……驚いて…』
「そうか…」
手を掴んだ廉夜を、女性はゆっくりと起こしてくれた。
『ありがとう、ございます』
「かまわん。これも仕事のうちだ」
『仕事…?』
「杖身をしている」
杖身――護衛。
『あの、』
「なんだ?」
『宿を探してるんです』
「子供一人を泊める宿はない。親はどうした?」
『えっと……その……』
助けてもらったとはいえ、事情を話すわけにはいかない。
廉夜が黙っていると、
「家出か…」
『違います!』
勘違いされた。
『家出じゃないけど、いろいろ事情があって……街に来たんです…』
「……家事は出来るか?」
『はい』
親戚の家では家事を手伝っていた。
「私は仕事ばかりで、家の事はあまり出来ん。代わりにやると言うなら、しばらく泊めてやる。お前の目は嘘はついていないようだ」
『……ありがとうございます!!』
「雑賀孫市だ」
『廉夜です!よろしくお願いいたします』
その少女、世話になる.