その少女、国造りに奔走する
-第37話-
『あ、街だ』
話をした後、小太郎は街の近くまで送ってくれた。
『小太郎さん、ありがとう』
姿を見られてはまずいと、すぐに踵を翻す彼に、廉夜は礼を言う。
『小田原王に、よろしく』
頷くと、小太郎は森へと消えていった。
『さて、宿を探しますか』
「きゃぁあああっ!!」
『何っ?!』
街に足を踏み入れた瞬間、悲鳴が響き渡った。
「主上、危険です!」
『放っておけないよ!』
影に潜んだ左近が止める。
しかし、廉夜は悲鳴が聞こえた方へと急いだ。
そこには―――
『妖、魔…』
妖魔がいた。
『あ、』
廉夜は、驚いて尻餅をついてしまう。
目が合ってしまった。
妖魔はこちらへ向かってくる。
『―――っ!!』
しかし、廉夜に近付く前に、妖魔は倒れた。
『………』
「……怪我は、ないか?」
剣をかまえた女性が、廉夜に手を差し出した。
その少女、街に入る.