その少女、国造りに奔走する
-第36話-
「………」
『あ、起きた』
「―――っ?!」
廉夜の顔を見た瞬間、勢いよく起き上がり、赤麒麟は周囲を見渡した。
『あ、うさぎなら逃がしたよ?』
「………」
廉夜がそう言うと、安心したようで、動きを止めた。
『えっと……私は、廉夜。あなたは?』
「“小太郎”」
ガリガリと音をたて、地面に自分の名を書く。
『小太郎さんは……話せないの?』
「………」
肯定も否定もない。
『まぁ、いいや。よろしくね』
「―――!」
『うわっ!』
挨拶を交わした瞬間、何かの気配を感じたのか、小太郎は廉夜の腕を勢いよく引いた。
現れたのは黒狼。
『こ、小太郎さん。大丈夫だから…』
「主上、そろそろ……」
『そうだね…』
「!」
“主上”という言葉に反応し、小太郎は肩を揺らす。
『ごめんなさい。あのね……』
廉夜は事情を話した。
赤麒麟、話を聞く.