その少女、国造りに奔走する
-第34話-
『うわぁ……』
三成を落ち着かせ、廉夜は彼の使令に跨り、城下を目指していた。
「主上、あちらの森に下りましょう。そこなら人もいないでしょう」
『ありがとう、左近』
前方の森に目をやり、廉夜はいつかの黒狼、左近の頭を撫でる。
「礼には及びません」
そう言うと、左近はふわりと森に降り立った。
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『さて、街は……』
―――ガサッ
『ひゃっ?!』
草が揺れる音に、廉夜は肩を大きく揺らした。
『何…?』
左近が反応しないので、危険はないようだ。
しかし、気になる。
『……うさぎ…』
そこには、罠にかかった兎。
そして―――
『人?!』
兎の傍で、男が倒れていた。
その少女、森に入る.