その少女、国造りに奔走する



-第33話-



 
『こんな……もんかな?』

「着替えたのか?」

『あ、三成』

初めて会った時のような簡素な格好をした廉夜に、三成は未だに複雑そうな顔をしている。

『三成、君に全権を与える。何かあったら……お願いね』

「……あぁ」

『あと、兄さんにも連絡しとかなきゃ』

「………は?」

『とりあえず、瀬戸内に勉強に行ってるって事にしようか』

「ちょっと待て!」

『え?』

「今日は帰らないつもりか?」

複雑そうな顔から、切羽詰まった顔へと変わる三成。

『君じゃないんだから、一日で見回れるわけないじゃない』

世界一速いといわれる麒麟ならともかく、他の生き物では絶対に無理だろう。

「廉夜、私はっ……」

やっと見付けた大切な大切な女王。
しかも、三成は先王を亡くしている。
それに本能も加わり、離れたくないという思いが強くなる。

「廉夜…」

いつしか、彼は泣きそうな顔になっていた。

『三成、私ね……何度も言うけど、良い国を造りたいんだよ。だから、ちゃんと今の現状を見ておきたいんだ……』

「………」

『何かあったら、すぐに呼ぶ。だから、その時は……世界一速い、その脚で駆け付けてね…』

「……あぁ……必ず……」



その少女、
麒麟と約束をする








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