その少女、国造りに奔走する
-第32話-
『なんでダメなの?!』
「貴様はもう少し立場を理解しろ!」
ある日の摂津国王宮。
とある一室では女王と麒麟が言い争いをしていた。
「やれ、いったい何を騒いでいる?」
そこへ現れたのは冢宰。
『聞いてよ、吉継さん!三成ってばケチなんだよ』
「誰がケチだ」
「待て待て、待ちやれ。我にはさっぱりよ」
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廉夜が言うには―――
廉夜はずっと瀬戸内で暮らしてきた。
そのため、摂津の事はよく知らない。
良い国を造るためにも、城から出て、実際にこの目で街を見てみたい。
―――との、こと。
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「なるほど……主上の言い分はわからんでもないが…」
『ほら!』
「何がほらだ!」
大谷の一言に、廉夜は嬉しそう。
しかし―――
「まだまだ物騒故、主上を城から出すのはなぁ……」
『えー』
「ふん」
今度は三成が鼻で笑った。
『でもさ、このままじゃダメだと思うんだよ!』
廉夜も食い下がらず抗議。
「使令を付けてやりゃあ、いいじゃないか」
いったいどこから聞いていたのか。
ひょこりと現れた黒田。
『左将軍!』
廉夜は、味方が来たと言わんばかりに笑顔になる。
「騎獣に乗ったら目立つ。使令で城下に下りて、後は影に潜ませてりゃいい。そうそう目立たないし、もしもの時にも備えられられるだろ」
『どう?!』
「何故、貴様が自慢げなんだ…」
『選ばれたからには、国の現状も知らなきゃ!ね!』
「……しかし…」
大切な女王を危険な場所には行かせたくない。
しかし、廉夜の言いたいこともわかる。
三成は究極の選択を強いられる。
その麒麟、困り果てる.