その少女、国造りに奔走する
-第31話-
『ねぇ、蓬莱ってどんなところ?』
「Ah〜……そうだなぁ……だいたいは、こっちと一緒だ。偉い奴が国を治めてる……麒麟とかはいねぇけどな…」
『へぇ〜』
「便利な物もたくさんあるが、こっちと比べて、自然が少ない」
そう言うと苦笑を浮かべ、政宗は茶菓子を口に運んだ。
「……おい」
今まで黙っていた三成が、ぽつりと呟いた。
「迎えが来たぞ」
「shit!!もう来やがった!」
『政宗君?!』
窓に足をかけ逃げようとする政宗に、廉夜は慌てる。
「摂津王、失礼します」
『ん?』
聞き覚えのない声に、廉夜は首を傾げる。
部屋に入って来たのは見知らぬ男。
その顔は、誰が見ても怒っている事がわかるだろう。
「何をなさっているのですか…?」
「oh……早すぎるぜ、小十郎…!」
『政宗君の知り合い?』
「うちの麒麟だ」
『え?!……黒麒麟…』
三成に元親、白銀の麒麟しか見たことのない廉夜。
初めて見る黒麒麟に、目を輝かせる。
「失礼します」
「ちょっ?!待て!!小十郎!!」
首根っこを掴まれ、ずるずると引きずられていく政宗。
『えっと……』
「ご迷惑をおかけしました」
軽く礼をし、政宗を連れて麒麟は去っていった。
黒麒麟、迎えに来る.