その少女、国造りに奔走する
-第30話-
「そういや、まだ名前聞いてなかったな」
『廉夜、です…』
やっと落ち着きを取り戻した廉夜は、緊張気味に答えた。
「廉夜、か」
『お会いできて、光栄です。奥州王』
他国の王は、幼馴染みの元就しか知らない。
これでいいのか?
と、思いつつも、たどたどしく挨拶する廉夜を見て、奥州王は目を細めた。
「政宗」
『へ?』
「政宗だ。敬語もいらねぇ」
ニヤリと笑う政宗に、廉夜もだんだんと肩の力を抜いていく。
『えっと……じゃあ、政宗君…?』
首を傾げて聞き返す廉夜に、政宗は動きを止めた。
「………cute…」
『きゅ?』
「honey!!One more please!!」
『え?何語?!奥州の方言?!』
わけのわからない言語を話す政宗に、廉夜は戸惑う。
「こいつは胎果だ」
『胎果…?』
戸惑う廉夜に、控えていた三成が応えた。
「先ほどのは、蓬莱の言葉らしい」
『そうなの?意味は?』
「知らん」
『政宗君、』
「honey、何だ?」
言ってる言葉の意味を聞きたいが、妙に興奮している政宗に、廉夜は苦笑した。
奥州王、大興奮.