その少女、国造りに奔走する
-第28話-
「元気そうだな」
三成に運ばれながら、廊下を進んでいると、久々に聞く声。
『兄さん、元親』
そこには、瀬戸内の王と麒麟がいた。
『来てくれたの?』
「おい!」
三成の腕からすり抜け、二人の元へと駆ける廉夜。
いや、駆けようとした。
しかし、再び裾を踏み、転びそうになったところを三成に支えられた。
「貴様、本当に引きずるぞ」
『……ごめん…』
「なかなか、上手くいってんじゃねぇか」
廉夜と三成を見つめ、笑い声を上げる元親。
『大裘って大変だよね』
「気にすんなよ、廉夜。実を言うと、元就も躓いたり―――いて!」
「余計な事を言うでないわ」
己の麒麟を小突きながら、元就は小声で呟いた。
『兄さんも躓いたりするんだ』
しかし、廉夜はしっかりと聞いていた。
「……忘れよ…」
恥ずかしげに俯く元就に、廉夜は楽しげに笑った。
瀬戸内王、赤面.