その少女、国造りに奔走する



-第27話-



 
ある晴れた日。

摂津国は賑わっていた。
国のあちこちでは、瓦礫が残っているが、人々の顔は明るい。

国府の入り口の大きな門に、人々は吸い込まれていく。
国府と、礼典に用いられる正殿に挟まれた広大な広場には、大勢の人。
禁軍、国官が並ぶ中、正殿の壇上に黒衣の人影が現れ、歓声が満ちた。

その黒衣を大裘(だいきゅう)という。
王の第一礼装。



‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐



『はぁ……』

即位式を終え、廉夜は盛大に溜め息を吐いた。

「疲れたか?主上」

『緊張したのもあるけど…』

髪の飾りを触りながら、廉夜は身に纏った大裘を見つめる。

『肩こりそう……』

「ヒヒッ……そうなれば、三成に揉んでもらうとよかろ」

『三成、肩揉み上手なの?』

「刑部、からかうな」

『部屋に戻っていい?本当に肩こりそう…』

立ち上がる廉夜。

『わっ』

裾を踏みつけ、よろけた彼女を、三成が受け止めた。

『ありが―――うわっ!』

それと同時に、浮き上がる身体。

『ちょっと、三成!』

「転ばれたらたまらん」

『大丈夫だって!』

「うるさい黙れ!文句があるなら引きずるぞ」

『えぇー…』

「……ヒヒッ…」

退室する女王と麒麟を見送りながら、大谷は笑い声を上げた。



その少女、即位式






「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -