その少女、国造りに奔走する
-第1話-
摂津の麒麟。
その麒麟、白銀の毛並みに、月色の瞳。
しかし、美しい見た目とは反対に、口調と目付きは鋭い。
そのため、敬われるよりも、恐れられる方が多い。
そんな麒麟も、やはり王には忠実で、覇王と呼ばれる彼にいつも付き従っていた。
麒麟は王だけでなく、王の友人である冢宰にまでも忠実だった。
だが、覇王は地平しか見ていなかった。
領土を広げる事を考え、足元の骸を見ようとせず進軍していく王に、国はだんだんと蝕まれていく。
ついには、麒麟は失道の病にかかってしまった。
それでも、麒麟は王を信じていた。
冢宰を信じていた。
だが、王は止まらない。
「三、成…」
改心しない王、病に苦しむ麒麟。
双方を見ていた、三河の王は決意して拳を握り締めた。
そして―――
覇王は三河の王によって倒された。
その麒麟、王と別れる.