その少女、国造りに奔走する



-第26話-



 
『………』

書物に目を落としたまま、廉夜は黙り込んでしまった。

「………」

そんな彼女を、黒田は首を傾げながら見つめる。

前冢宰が集めた書物。
とても、十四の娘が読むようなものではない。

理解しているのだろうか?

「おい、」

『前の冢宰、どんな人でした?』

「……どんなって…」

呼ぼうとしたら、向こうから声をかけられた。

『気が合ったかもしれません』

書物を見ながら、微笑む廉夜に、黒田は言葉を失う。



自分に枷を嵌めた時は、甘過ぎる娘だとなめていた。

しかし、自分は十分に嫌な思いをしているし、なにより……

こんな鉄球を毎日引きずりながらの生活。

以前より力が付いたような気すらしてくる。

「まさか……」


全て計算して―――


『どうしました?』

「いや、なに………主上の期待に応えてやろうと思っただけさ」

『どうしたんですか?急に…』

くすくすと楽しげに笑う廉夜に、黒田もにやりと笑んだ。



その将軍、改心






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