その少女、国造りに奔走する



-第25話-



 
『う、わぁ……』

廉夜は目を輝かせながら見回す。
広い書房には、もちろん本がたくさん。

「本が好きなのか?」

『はい』

「だがなぁ……」

『何かあるんですか?』

「前の冢宰が集めた、小難しい本しかないぞ?」

苦笑しながら、黒田も書房を見回した。

『まぁ、見てみます』

「頭痛くなるぞ」

黒田の忠告も聞かず、廉夜は棚へと手を伸ばす。

「ところで、」

『?』

「なんで小生は敬語なんだ?」

『え?』

「………三成や刑部とは普通に話してるだろう?」

『なんとなく、ですかね…』

「……なんとなく?」

廉夜の返答に、黒田は唖然。

『そうですね……枷を外す時がくれば、敬語もやめるかもしれません』

そう言って、廉夜は手に取った書物に目を落とした。

「どうやって、反省したか見極めるんだ?」

『……とりあえず、そんな事を聞いてくるうちは反省してないということなので、しばらくはそのままで』

「…………」

それを聞いた黒田は、項垂れるのだった。



書房にて、討論






第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -