その少女、国造りに奔走する
-第24話-
『………』
廉夜は一人、宮中を歩いていた。
今まで忙しくて、よく見れなかった。
宮中は落ち着いたが、地は荒れ、妖魔も出るこの摂津。
まだまだやるべき事は多い。
今のうちだろうと、廉夜は宮中を見て回る事にした。
『あ、』
ジャラジャラと鎖の音が鳴る。
音の聞こえる方へと向かうと、そこには予想したとおりの人物が。
『左将軍』
「!」
廉夜の声を聞いた瞬間、男はびくりと肩を振るわせた。
「何だ…主上…」
枷を嵌めてからというもの、黒田は廉夜を警戒し、会うたびに肩を揺らす。
『書房はどこですか?』
「書房?」
『王宮には大きな書房があると聞きます。しかし、忙しくて見た事がなかったので……』
「……案内しやってもいいが…」
ちらりと腕の枷を見つめる。
『外しませんよ』
「………くっ…」
『外して欲しいなら、冢宰まで』
「なんで刑部に渡したんだ…」
『面白そうだから』
さらっと答えた廉夜に、黒田はがくりと肩を落とした。
「三成が選んだだけはあるよなぁ……」
『どういう意味ですか』
「……こっちだ…」
『はい!』
ずるずると鉄球を引きずりながら歩く黒田を、廉夜は笑顔で追った。
その将軍、道案内.