その少女、国造りに奔走する
-第19話-
「お前さんが主上だと?!」
『………』
廉夜は無言で頷いた。
「証拠は…?」
『………それは、』
血や穢れに弱い麒麟。
ここにはいない。
「証拠もないのに、ずいぶんと偉そうだな」
剣を手に、男は廉夜へと近付いていく。
『………』
何かないかと考えるが、こんな状況では頭が回らない。
その時―――
「何をしている、官兵衛」
凛とした声が響いた。
「三成?!何故?!」
『………』
廉夜も、いるはずのない者の姿に驚く。
「主上の御前にあって、何故許しもなく頭を上げるか」
「主上…?本当に…?」
「もう一度言う。何をしている、官兵衛」
「………っ」
慌てて一礼し、男は部屋を出ていった。
兵が退いたのは、それからすぐの事。
『三成』
「平気だ」
辛くてたまらないだろうに。
それでも来てくれた麒麟に、廉夜は喜び微笑んだ。
その麒麟、駆けつける.