その少女、国造りに奔走する



-第8話-



 
『ねぇ、人の姿にはならないの?』

「……身一つで出てきてしまった………服がない」

『………意外とおっちょこちょい?』

「………」

『いたたっ!角でつつかないでよ!』

不機嫌を隠すでもなく、三成は無言で廉夜を小突く。

「……台輔」

『妖魔?!』

突然現れた妖魔に、廉夜は身構えた。

「私の使令だ」

『え、使令?』

女性のような姿、背に灰色の翼、鱗に覆われた腕には何やら荷物を抱えている。

「冢宰殿からお預り物でございます」

獣の姿の三成を見て、廉夜が荷物を受け取った。

中身は―――

『……服だ…』

「台輔が身一つで出ていかれたので、心配だからと…」

何かあった時のために、王宮に置いてきた使令。
それが服を持ってくるとは……

『冢宰さんはすごいね』

「………」

三成は恥ずかしそうにうつむきながら、木の後ろに隠れ、着替え始めるのだった。



その冢宰、先読み






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