土曜は子供たちとサヨナラした後、
俺と光馬に青柳に白木。そしてあまねといちるちゃんと昼飯を食べに近くのラーメン屋へ行った。

いちるちゃんは初めての外食だったらしく…かなり緊張していたなぁ。

会計時にあまねがいちるちゃんの分を奢ると言ったはいいが、素直に奢ってもらえばいいのに、いちるちゃんが頑固に自分で払います!と二人で押し問答。

見てるこっちはあまねが他人に飯を奢る!と面白目に見てたけれど他の客には、かなり迷惑になっていた。

日曜、あまねは家のバイトだから、いちるちゃんと一緒にいれない…
なーんて腐ってたけど。


そんなこんなで月曜日の掃除時間。
俺とあまねは理科室の担当。

「蒼生…お前掃除しろよぉ…」

俺は理科室の黒板の前の大きな机に腰を下ろしてサボっていた。
あまねはきれい好きなので掃除とか真面目にしちゃう。今日もホウキ持っちゃって…似合わねー!
見かけって当てになんないわ。

「して、あまねくん。今回の髪型はいちるちゃん何て?」

今日あまねの髪は金から黒にモデルチェンジしていた。

「てめ…話をそらすんじゃねぇーよ!
…………似合うねって言ってくれたけど…
いちるは明るい髪が好きだと思う。
前の髪…太陽みたいって言ってくれてたし…」

掃除しやがれとバッサリ切られるかと思ってたけれど…。あまねは、いちるちゃんからの髪型評価がかなり気になっていたようで、
俺に話を聞いてもらいたかったようだ。
最近、本当にキモかわいーなぁ。

あまねのお母さんは有名な美容室をいつくも抱えるカリスマオーナー。
お小遣いは基本的に、あまねが店に貢献しないと配給されないそうだ。
大体はお店の宣伝用のモデルをやらされるらしい。
おばさんは将来あまねに跡を継がせるか、プロのモデルになってほしいなぁーって言ってた。
俺からしたら、あまねは表に出るタイプじゃないから…。そっち方面にはいかないんじゃないかなぁ。
とまあ、そんな感じで。
お小遣い代を稼ぐ為に今回は黒髪になったというわけ。前の金髪も理由は同じ。

でも本人は、いちるちゃんが気に入ってるであろう金髪の方が良かったと言っているわけで。

「いちるちゃんはさー。別にあまねの髪の色なんて気にしてないと思うよ」

「あぁ?てめ…掃除しやがれって何回言わせるんだよ…」

そう。いちるちゃんはあまねの髪の色ではなく内面を見ているはずだから。
という俺の見解は、恐ろしい顔をして近づいてくるこのイケメンには伝わらなかったらしい。

「あ…あまねくん!人には得手不得手がありましてな!僕はお掃除が苦手……あまねは人付き合いが苦手…武野センパーイ!!」

俺の話聞いてんのか!!と怒り狂いそうなあまねをヒョイっとかわし、開けられた窓から廊下を歩く2年の武野美景センパイを見つけ呼んでみる。

「あぁ!蒼生くんに…天音くんは今日も機嫌悪そうだね」

クスクス笑いながら理科室へ入って来た。

「うっせーよ」

相変わらずイケメンだなぁー。なんて鬼の面のあまねにも臆することなく接するセンパイ。
肩くらいの長さに染めていない黒髪は綺麗で。化粧も軽くマスカラ付けてるくらいな飾り気のない小顔は、男子からかなりの人気。

「で?私はなんで呼ばれたの?」

「最近なんか面白い話がないかなぁーと思って」

このセンパイはよく面白い出来事や結構重要な場面に出くわしたりする体質らしく、
時々話かけてみると耳よりな情報が聞けたりする。
そんな不思議なセンパイだった。

「あ!天音くんが最近いつも一緒にいる女の子との噂でみんな持ちきりよ!やっぱりイケメンは動くだけで目立つから。
でも彼女、大丈夫だった?
金曜の放課後、男の子二人に眼鏡壊されちゃったって…後輩の女の子が言ってたから…」

「ぇー!そんな事があってたの!!あ!だからいちるちゃんコンタクトになってたんだ!」

そうだよね。土曜はコンタクトになってたもんね。
そっか…眼鏡壊されちゃったんだ。
ところで武野センパイはなぜ、あまねを見てはイケメンを強調するかというと…。
センパイが好きになる女の子は大体があまねに恋をしているそうで。
中学の時に初めて会ったセンパイは、あまねに掴みかかり取っ組み合いの喧嘩になった。
そんな男前な武野センパイをあまねも嫌ってはいなかった。


「…………忘れてた」

あまねの動きがパタリと止まる。
ん?どうしたんだ…?忘れてたって言った?

「しかも天音くんが迷惑してるから近づくなよ!って人が大勢いる前で大声で怒鳴ってたらしいから…
みんなは彼女の方が天音くんに付きまとってると思ってるみたいで…
天音くんに付きまとえる女の子なんていないのにねー!」

「おい、美景…そいつら何組だ…?」

「1年の子だったらしいら、クラスまでは…アッシュグレーとレッド系の髪の色って事しか」

「あぁ、そいつらあまね崇拝者だわ…確か…Dだったかな?」

それを聞いたあまねはホウキを投げ捨てて理科室を出ていった。

「……あれ、私…まずいこと言っちゃったかな」

「多分そいつら今日死にますね…」


殺人を食い止めるために俺も出動かぁ…
俺ひとりで大丈夫かな…?
地獄への道連れにいちるちゃんも誘おう。


なんか、面白いことになりそうだ。



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