END


ラルが繋がれていた枯れかけた樹の前に、
えんじ色のブーツを履いた猫が、
1匹。
溜息を吐いた。

樹の根っこから生えている鎖の先には、
今までラルがはめていた足枷、
手枷が繋ぐものを無くし、
地面に冷たく転がっている。
その横には、
白い大カラスの首輪も落ちている。

「ラルさん、白カラスさん、
あなたたちはどうして他人の為に、
自分を犠牲に出来るんですかね」

ラルと白カラスは流れ星となり、
自分の残っていた力すべてを、
朗朗や夜々、戀々やニッカに分け与えた。

そして、消えた。

「理解するとか、しないとか、
そういうことじゃないのは…
分かってるんですけど…ね」

フレイムは手枷と足枷と首輪を拾い上げると、
ピンク色の魔法の煙に包み、
消し去った。

枯れてしまっていた樹の枝には、
小さな緑の蕾があちらこちらに見える。

「花が咲くころに、
また会いに来ますね。
それまで…さようなら」

ラルの愛した猫はピンクの煙にまみれて姿を消した。



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