悪魔の目玉


ドクロは、
二階にある博士の寝室のベッドに寝かされていた。

ベッドの横にはピッタリとノバリが張り付いており、
ドクロが目を覚ますのを今か今かと待っている。
その反対側には心配そうに眺める夜々がいる。

「ねぇ、ノバリ。
先生のこと何でそんなに好きなの?」

ノバリは問われたが、
答えはよく分からなかった。
だからキョトンとした表情で首を傾げた。
それで満足したのか夜々はそれ以上、
深く聞くことはしなかった。

昨日の夜は本当にたくさんの
不思議が起こった。

光が散った後、
二人の目玉は何故元に戻ったのか?

それは朗朗に降り注いだ流れ星に秘密があった。

朗朗が魔女との戦いで怪我をして、
夜々と戀々の目玉を左腕に移植された際、
悪魔が捕虜にしていた魔女から、
巻いている包帯に呪いがかけられた。
昔オルガが包帯の呪いは解除していたが、
皮膚に直接施されていた呪詛は
魔王がかけていたものだったらしく、
目玉を取り出すまでには至れなかった。
でもその呪いを光はいとも容易く解いていった。
そして朗朗の右眼に埋め込まれている戀々から移植された、
目玉も持っていった。

力の根源である目玉を抜かれた朗朗は、
もう抜け殻も同然。
のはずだった。

けれど流れ星は光そのもの、
自分のエネルギー全てを朗朗に託した。

朗朗の空いた右目と、
左腕の隙間に力が流れ込んだ。

朗朗から離された目玉は元あった、
本来あるべき場所へとやっと帰り着いた。

目玉だけではない。
朗朗、夜々、戀々、ドクロは、
あの時にさせられた長い間の"さよなら"から、
これから先の、
長い未来への"ただいま"を果たした。

奇跡は信じて待つ者へ必ず訪れる。

でも同時にたくさんの願いは叶わないのも、
世界の掟。


その夜、ドクロは目を覚まさなかった。



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