ハロー


「ドクロ動かないよ?!!生き返るんじゃなかったの?!
ねぇ!!」

心臓の鼓動が切れて倒れたまま、
なんの変化も起きないドクロを見て、
不安でパニックになったニッカは声を荒らげた。

「ニッカはまだ、見たことがないんだったね」

ドクロのそばにいたニッカの肩を優しく抱きしめ、
ノバリはニッカをそっとドクロから離した。

「ほらもう、始まる」

そう言われニッカはドクロの変化に気付く。
体が…ドクロの胸が光り始めていた。
そして激しく動き回っていた2つの球体は、
パンっと弾けるようにドクロの皮膚を突き破って窓から外へ飛び出した。
それを追って朗朗はバルコニーへと走る。

やっと外に出れたことが嬉しくてたまらないかのように、
青い球体と赤い球体は空中を、
ぐわりぐわりと飛び回る。
最後に出てきた黒い球体は、
部屋の中をひと周りすると、
ノバリの前でピタリと止まった。
そしてその柔らかい頬を確かめるかのように、
くにりと黒い球体は自身を滑りこませる。
ノバリはくすぐったそうに笑った。
きっとドクロの本能の部分がノバリに触りたかったのだろう。

しばらくじゃれ合った黒い球体は、
ドクロの中へと静かに帰っていった。

青い球体と赤い球体は朗朗の前で止まっていた。

「時間…かかり過ぎちゃったな」

朗朗は泣きそうになりながらも、
二つの球体を撫でながら言った。

「色々さ、話したいことがあるんだ…
だから早く元の姿に戻りな」

夜々の目玉をくり抜いたあの日から、
手に残る血の感触と、
ボロボロになり立つことさえ、
喋ることさえ出来なくなっていた戀々の姿。
自分の為に体を犠牲にしていた二人を思うと、
悔しさで毎夜眠れなかった。

朗朗は本当に気の遠くなるような長い時間を、
たった一人で待っていた。
手に、目に、忘れることなく刻まれた記憶と共に。

青と赤の球体は朗朗から離れ、
少し高い位置に上がると、
二つはすごいスピードでまわりながら、
星よりも月よりも明るい光を放った。

目を覆うほどの光の後に、
現れたのは朗朗が待ち焦がれていた、
弟の夜々と妹の戀々の姿だった。



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