目玉摘出


ショコラを先頭にポルカはニッカの手を引き、
暗闇の道を駆け抜ける。
そしてようやく見えてきたキコリーズの家。
三人は急いで研究室へと入った。
金属やガラス製品が多く、
見たこともないような器具が並んでいて、
外よりも空間自体が冷えているような印象を受ける。

ポルカはこの部屋があまり好きではない、
普段は絶対と言っていいほどに入ろうとはしない。
キョロキョロ辺りを確認しながらポルカは言った。

「ショコラ、ドクロの代わりの力ってどこにあるの?
そんな大きな力って誰か持ってた?」

先ほどショコラの曖昧な言い方がどこか気になっていた。

「オレがあの場を収める為にニッカを犠牲にするなんて思ってないよな?」

探りの本意を感じ取った彼の真剣で少しだけ怒ったような水色の目に、
ポルカはたまらず吹き出した。

「ちょっと思った」

「私も思った」

横からニッカも同じく笑った。

はぁと長いため息の後、ショコラは頭をぼりぼり掻きながら、

「お前らオレの苦労知らないだろ。
体は使うは頭は使うはでヘトヘトなんだよ。
今日はスペシャルに厄日」

「ごめんね、ショコラ」

と言いつつ笑いをこらえ変な顔になっているニッカ。

「緊張感持て!ニヤニヤすんな」

ショコラはニッカの脳天にチョップをかました。

「いてててて…だって私、
ショコラを信じてるから良いの。
全然怖くないもん」

「なんかムカつくんですけどー」

そんな憎まれ口を叩きつつも、
ショコラの手のひらはニッカの黒髪をワシャワシャとかき回した。

「でさ、代わりの力は?」

ポルカの質問にまだ答えていなかったのを忘れていたショコラは、
ニッカの頭から手を離した。

「そだそだ。不思議の森にラルってJEMMY を造ったゴーストがいて、
そのラルが助けた猫が凄い魔法使いでさ、
猫がラルの為に今まで集めてた力の結晶をくれたんだよ」

ショコラはズボンのポケットから瞳の大きさほどの球体を取り出した。
それは光の反射で色を変え常に違う瞬きを放っていた。
きっとこれは世に存在するどんな宝石よりも美しいだろう。
ショコラに手を伸ばし貸してとアピールするポルカに球体を渡す。

「こんな凄いものくれるなんて…見返りとか渡さないといけないの?」

上にかざして角度を変えながら眺めていた球体のあまりの輝きに不安が募るポルカ。

「何も言われなかったからなぁ、あげるって一言だったし。
でもこれがなきゃ、JEMMYが血みどろになっちゃうし
ありがたくもらっとこうかなと」

ショコラは話ながらもニッカを以前使った診察台へと誘導する。

「そっか、それならニッカも死なないだろうね」

納得し安心を得たポルカは診察台に横になったニッカに、
持っていた球体を渡した。

「次はこれが入るんだね、私の目、忙しい」

「頑張ってね!」

「ポルカは取り出した目玉をすぐに博士の所に持っていくのが役目だから、
気絶するなよ」

はーい。と長めに返事をしたポルカも覚悟を決めた。

「よし、じゃあ目玉の摘出を始める」




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