ほどけていく糸絡み


博士は夜になるとスイッチが下りるビスケットを起こし、
JEMMYの全員がテーブルに揃った。

ドクロと朗朗とオルガは立ったまま話を聞くことにした。
それぞれがまだ互いを警戒しているからだ。

「まずは…ドクロと朗朗の過去からほじくり返す。
そこがねじれの原因だから」

ショコラは二人を見ながら前に置いていた博士の日記を擦った。

「オレはさっきドクロから過去に何が起きたかを聞いた。
そして博士には悪いけど日記を読ませてもらいながら、
ある重要な点に気がついた」

「言えよ」

朗朗は機嫌の悪い低い声だった。

「それは朗朗達が魔王に捕まった時の話。
ドクロは魔王からこう告げられた。
“狡猾な狼は弟妹の命を引き換えに地に頭をこすりつけ泣きながら命乞いをした”と」

「なっ…」

「そう、朗朗。本当は全く違うんだろう?」

ドクロは驚きを隠せずに朗朗を見ていた。
そして朗朗はあの時の真実を語り始めた。


「捕まった後アイツが言った。
お前たち三人を殺さず国外追放にしてやってもいい。
条件は……ひとつ。
俺の手で夜々の目玉をこの場でくりぬけと。
迷う暇さえなかった。
何が正解か考える余裕も与えられなかった。
夜々は命があれば大丈夫だよって…笑った。
俺は弟の目玉を…抜いた。
赤黒い血が噴き出して…夜々は痛みを我慢できずに泣き叫んだ。
俺は早く地上に上げてくれと泣いて頼んだ。
アイツは笑いながら俺から夜々の目玉をひったくって言った。
この瞳はドクロへの贈りモノだと。
大切なドクロへ近づき惑わせた罪により、
死ぬまで弟の瞳をくりぬき妹を見殺しにした後悔の中でのたうちまわりながら生きろと。

俺だけを生かして追放した。

だから俺はドクロを…ドクロを…」

博士は立ち上がり朗朗の手を握る。
大丈夫だよと。そう伝えるために。

「ドクロ、朗朗に目を返さなきゃだめだよ…」

ノバリは不安で揺れる瞳でドクロを見上げる。

「オレそんなの持ってねーよ!持ってたら朗朗に会ったあの日に返してるよ!」

「うるさいぞ、ドクロ。
コウモリ、お前さっき目玉を潰すと言ったな。
お前が持ってるのか?」

オルガは不信げにショコラを睨む。
全ての視線は一斉にショコラへ浴びせられた。

「そう。ここからが本題。
みんながそれぞれ協力すれば願いは必ず叶う」


ショコラが言うと何だか少しうさんくさいなと、
ニッカは内心思った。








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