再会


「朗朗が来たぞ」

ビスケットの家の中では、
ニッカを迎えに来ていたIQも加わり皆で話をしていた。
そんな中、朗朗の気配を察知したオルガは窓を開け庭を見渡した。

月の光が明るく朗朗の煙はいつにもまして漆黒だった。

「勝負する気になったか?狼」

オルガは挑発的な言葉を投げ掛ける。
そこにすかさずニッカがオルガの服の裾をキュッと握る。

「ニッカに懐かれたのー?奇妙なこともあるもんだねぇ」

考えのある朗朗は相変わらずの態度で応戦する。
オルガが絶対に協力することが分かっているからだ。

「ふん。貴様何しに来た。ドクロの呪いは解かんぞ」

オルガの長い金色の髪が夜風にふわりと揺れ動く。

「ドクロの呪いを解けば…その核から生き返る瞬間が見れるぞ。
そこにいる間にポルカやニッカからJEMMYの本質を聞いたんだろ?」

朗朗の緩く人を馬鹿にしたような独特な口調が消えた。

「朗朗、貴様何がしたいんだ?なんの為にドクロを殺す?」

場は沈と静まりかえり風さえも止んだ。

IQはだんだんと痛んでいく心でも朗朗をしっかりと見据える。
朗朗の思いを…もう後悔をさせたくない。

ポルカとニッカは不安でいっぱいだった。
これから何が起きてしまうのか…。

「ドクロを殺して…ヤツの中に閉じ込められてる弟妹を生き返えらせる」

朗朗はオルガに本当のことを告げた。
もう少しで全てがうまくいく。
あと…少し。


「それが本当の目的か。
しかしお前を殺したらどうなるんだろうな。
生き返れるか?」

オルガはにやりと笑った。
そうだ、コイツは魔女だった。
しかもすこぶる性格の悪い。

「だが、お前を殺すのは時間が掛かり過ぎる。
あの小さなドクロを殺した方が早く見れる」

オルガは腰に差していた緑のマジックハンドを手に取ると、
もの凄いスピードで窓から飛び出し勢いのまま一直線に庭へ走った。

そう、入口にノバリとドクロがやって来たのに気付いたからだ。

遅れて朗朗が振り向く。
ニッカとポルカは声を無くす。
IQは瞬きひとつせずに見守る。


その時、誰もがドクロの死を思った。


「コウモリ…私を止めるとは強くなったな」

ショコラの斧はミシミシ音を立て、
柄の先についている金色の鈴が振動でちりりんと鳴っていた。

「あぁ…オルガにドクロの呪いは解かせないよ」

ブンっと大きく斧を振られオルガはさっと飛び退いた。

「死ぬかと思ったんですけどー。
よし、とりあえずとりあえず皆で落ち着こう」

斧を地面に下ろしたショコラは両手をヒラヒラさせて、
戦意がないことを伝えた。
まずは話を聞いてくれと。

「ショコラ、俺たちは急いでるんだよねー。
話しを聞いてる暇ないからさ」


殺気だっている瞳を赤く光らせながら朗朗が近づいて来る。

「朗朗、今手を出したら探してた弟の目玉をこの場で潰す」

ショコラの言葉に朗朗は固まった。

「な…にを…」

「はいはい、怒りを抑えてオレの話を聞かないと…また後悔するぞ」

脅しのようにも聞こえた。
オルガはマジックハンドを既に治め聞く態勢に入ってる。

「よし、暗いしここじゃなんだから部屋に入ろう」

ショコラはオルガと朗朗を早く行けと言わんばかりに追いたてた。
そして庭の入口から…

「ショ…ショコラ間に合いましたか?!」

息切れの博士が現れた。
そんな博士に号泣しながらノバリが抱きついて二人は地面にのめり込んだ。




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