過去へ


「何してんだ?って人数多いな」

ショコラは周りを見渡しスタスタと、
オレを通り過ぎノバリの隣にいるラルに真っ先に近寄る。

「キミがラル?だよね。この髪の色に…その首のエンブレム」

いきなりやって来たショコラに怯えたラルは、素早くノバリの背中に隠れた。

「ラル、この子はねショコラっていってぼくらの友だちだから安心して。
ねぇショコラは何しにきたの?」

背中にへばりついているラルを安心させながらノバリは、
あんなに怖がっていた森に一人でやって来たショコラに首をかしげる。

「博士の日記帳にこの子のことが書いてあったから会いたくてね」

左腕に抱えていた大きな分厚い本のような、
エンジ色の日記帳を見せた。

「あ…それ」

目を大きくしたノバリの手を握り、
その場に胡座をかいたショコラ。
日記帳を地面に置いた。

「ノバリ覚えてる?」

笑ったショコラにこくりと頷いた。

そして「ネガティブ」と唱えると、
日記帳の南京錠がガチャリと外れページが勝手にペラペラと捲れていく。

「あった。ここここ」

ショコラはそのページを指さした。
ノバリとラルとフレイムがのぞきこむ。
オレもそっちに移動してページを眺めた。

そこには博士の絵描いたラルの姿があった。
博士、絵がうまいな。
なんて思っていたらラルが次のページを捲った。

「……知ってる。レイニーデイズ」

ぼそりとラルがそこに描かれた博士の絵を見て呟いた。

それは博士とラルが手を繋いでいるスケッチだった。

「………ね、ねぇ。博士はここによく来るの…?」

うつむいたままのノバリがラルに問う。
オレはノバリが泣いてしまうのではないかと…心がぎちぎち音を立てる。
ラルはうんとね、と遥か遥か昔のことを思い出すかのように遠くを眺め、

「時々来て、お話して…でも消えてしまうの」

そっか…と困ったように笑うノバリの手を、
オレは強く強く握りしめた。
その手を握り返してくれた柔らかい手のひらに安心を覚える。

「ショコラ、オレたちJEMMYは誰が造ったのかを教えてもらったんだ、こいつに」

オレはフレイムに目線を移す。
それを追うようについてきたショコラがフレイムを見た。

「初めましてショコラ。」

「アンタもカミナリの国の住人?」

怪しむというよりは興味深いといったショコラの瞳は、とても楽しそうだ。

「カミナリの国のことよく分かったネ」

「あのラルのエンブレムを本で読んだのを来る途中で思いだした」

賢いね、と嬉しそうに目を細めるフレイムはさっきオレたちにした話の要点をショコラにも説明した。


「ラル、お前すごいヤツなんだな」

尊敬の眼差しを向けラルに詰め寄る。
ラルは相変わらずノバリの後ろに隠れている。

「あ、ドクロ…朗朗がお前を殺す計画をたててるらしい。
オルガが来て庭で大騒ぎになってたぞ。
それと朗朗とオルガは手を組んでるらしいし、
ドクロの呪いを解きに来たとか。
一体何したんだ?」

言葉をなくすオレ。
アイツはいつ知ったのだろうか…。
もしかしたらあの時すぐに…?


「ドクロ…顔が真っ青だよ…?だいじょうぶ?」

心配してくれるノバリの頭を優しく撫でるのが精一杯で、
返事の言葉は一つも出てこない。

「今度はドクロのお話を聞かせてよ…ねぇ?」

フレイムはオレ何を知っているのだろうか…
事態は確実に進行している。
考えた末、
オレはみんなの前で過去に何があったかを話すことにした…。



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