日記争奪戦


朗朗がIQのアトリエを出る時には、
空はもう夜の帳を下ろしていた。

遅くなってしまったけれど、
ショコラを探すよりまず、
博士の日記を手にいれることにした。
先程はオルガの突然の出現によって予定が狂ってしまったから。

ビスケットの家の前に着くと、
一階のリビングに明かりがついている。
多分オルガとポルカとニッカがいるのだろう。

移動する時の魔法は、オルガの近くで使うと気配でバレてしまうので、
仕方なく俺は階段を音を立てないように登り、
二階にある博士の部屋の中に侵入した。
すっかり暗くなってしまった室内には、
机の近くにある1つしかない窓から月明かりがうっすらと入ってきている。
俺は机の上にある林檎型のランプに火を灯す。
そして昨日ショコラが日記をなおした引き出しを開けた。


そこは…もぬけの殻だった。

くっそ!!!
ポルカを伝書鳩に使い、
IQに俺の足止めをさせたのは、
日記を奪うためだったのか。
あのコウモリの事を甘く考え過ぎていたようだ。
腹立つぅ!!

俺は博士の昔から記してある過去たちを、
他の奴らに知られたくなかった。
それとオルガに博士の研究や情報を渡すのがなんか嫌だった。

ショコラの行き先も分からないし、
あーもう色々考えるのが面倒になってきたな。
どうしてこうも上手く事が運ばないのだろうか…。

俺は部屋を後にし、ショコラを探す手掛かりを求め研究室へ行くことにした。




その頃ショコラはというと…

時間は朝に遡る。
ショコラは朗朗を警戒し、夜の内に研究室の中から外をモニタリング出来る装置を素早く完成させ設置していた。
朗朗が自分を監視するだろうことは分かっていたからだ。
逆に考えれば、朗朗がショコラの視野の届く範囲にいる時間が把握出来るということ。
そこを狙えば外に出れる。


ショコラはどうしても日記を手にいれたかった。

朝早くにポルカにIQへの伝言を頼み、
自分はすぐに研究室へこもる。
モニタリングをしていると朗朗が映った。
そして中にいるように錯覚させるため、
物音を立ててくれる機械もちゃんと用意していた。
朗朗が見張っている隙に、地下に掘っておいた秘密の通路を通り見事研究室を抜け出した。

あとは時間の問題だ。
朗朗はすぐに日記を取りに博士の部屋へ向かってくるだろう。
猶予は無い。
これでもかって急いで博士の部屋へ入り日記を入手した所で、
IQしかいなかった庭から声が聞こえてきた。
確認のために部屋の窓から外を覗いてみると…。
そこにはオルガに捕まったポルカがいた。

ちゃんと伝言IQに伝えたんだろうな…

それだけが心配。

日記を持ち出し庭の草の茂みに隠れて、
オルガ達の話を盗み聞きしていると、
朗朗が現れた。
オルガがいなければ博士の部屋でかち合っていたかもしれない…。
心の中でオルガに感謝する暇もなく、
衝撃的な話を耳にしてしまう。


「ドクロを殺そうとしているのはお前だろう?」


ドクロがJEMMYに来て朗朗と初めて会った時、
二人とも驚いた顔をしてたのを思い出す。
昔からの知り合いだと、ドクロは言っていたな。
もちろんそれ以上のことは口にすら出さなかったっけ。

朗朗は昔まだオレたちがコウモリだった頃、
魔女と悪魔の戦争真っ只中に、
オルガと取引きをした。

悪魔の力をオルガに分け与える代わりに、
朗朗の左手にかけられている呪いを解くことが条件だった。

理由までは知らないが朗朗の左手に巻かれている包帯自体が呪われているらしく、
その包帯を剥がす為にオルガの力が必要だったと言っていた。

悪魔なのに敵に力を与えるなんて、
裏切り以外のなにものでもない。

だからドクロとの間に複雑な事情でもあるのか…?

そんな昔のことなんてオレには関係ない。
けれどドクロが殺されてしまったら、
オレたちの永い永い寿命の長い時間、
退屈してしまうではないか。

ドクロはノバリとゴーストの森に行くって言ってたな。
めんどくさいがオレはドクロに朗朗の計画を教える為に、
二人のあとを追うことにした。


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