ピンク色のポルカ


つぎの日の朝IQ宅にて。


「おはよう。ゆっくり眠れたか?」

IQが眠そうに頭をかきながら私に言った。


「あ…はい、おかげさまで」


「そりゃ良かった」


昨日はノバリと別れIQの家にお邪魔した。
IQの家はベッドが1つしかなく、
2人が寝るには狭かったので、
IQは家の裏にあるアトリエで寝ることになり
私にベッドを譲ってくれた。


「コンコン」


家の扉をノックする音が鳴る。
ノバリかな?と思っていた私にIQが、


「あー。ニッカ出て。
んで俺は寝てるって言って」


そう言い残しIQはタバコ吸ってくるからと、
裏の扉から出ていってしまった。


「ガチャ」


扉を開けて目に入ったのは綺麗なピンク色の髪の毛だった。


「あ…。きみが朗朗が言ってたお土産…ちゃん?」

瞳もピンクかがった赤い色でキラキラしてた。


「はい。そうです」


「えっと…ボクはポルカで… IQは、いる?」

ポルカと名乗った人物は、
ノバリ達とはまた違い背中に羽根が生えていた。
白い骨の部分に薄く黒い膜のようなモノが張られている感じで。
なんだかコウモリの翼みたい。


「IQはまだ寝てて… 起こしてきましょうか?」

「あ…いやいいよ。
これ渡してもらえる?」

と言って渡されたのは、
両手に収まるサイズで、
ピンク色のリボンがかけられた可愛い箱だった。


「プレゼント?」


「うん。絶対渡してね! あときみにも…これ」

次に渡されたのは… パンだった。


「ありがとう」

受け取ってお礼を言ったらポルカは少し顔を赤くして、


「どういたしまして」

そう言った。

ポルカが帰って行く後ろ姿を見送り私は家に入った。
IQはタバコを吸い終わっていたみたいで、
部屋のテーブルに座っている。


「何もらった?」


「あの、ポルカからIQにって」

さっき貰った箱をIQに渡す。

「ふーん」

IQは箱を持って、また裏に消えてしまった。

その間に私は、さっきポルカからもらったパンを食べた。
中にはレーズンが入っている。
美味しさを噛みしめ最後の一口を食べ終わった時、IQが戻ってきた。


「ニッカ、これポルカに渡して来て」

そう言って渡されたのは、さっきの箱の形に似たラッピングの違う箱だった。


「?」

首を傾げてしげしげ渡された箱を見ていた私に、


「ポルカの家は、
ここを真っ直ぐ行って左手に看板があるからすぐ分かる。
俺はノバリを起こしてビスケットの所に行っとくから
頼んだぞー」


説明しながら背を押され、
すでに家の外に出されていた私は、
しかたなく小さな箱を持ってポルカの家に向かった。

IQの家は野原に建っているが、
ポルカの家は森の中にあった。

看板を見つけ山道を登った先に見つけた、
ピンク色と水色のレンガを交互に組み合わせた塀を。


「なんか…すごいなぁ…」

魔女が住んでいそうな家だ。
恐る恐る塀をつたい、入口を探す。


「あ…あった」

入口を見つけ少しホッとしたのもつかの間に
今度は玄関を探した。
そろそろと歩いていたら、
裏庭らしき場所にあのピンク色の頭を見つけた。


「…ポルカ!」

ちょっとだけ大きな声を出して呼んでみる。
今の声が聞こえたみたいでポルカが私に気付いてくれた。


「あ…お土産ちゃん! 渡してくれた?!」


「うん。
そしたらこれIQがポルカに渡してきてって。
預かってきたよ」

お使いを無事果たし一安心。


「えー!プレゼント?ボクに!
なんだろなんだろ」

とっても嬉しそうなポルカがプレゼントのラッピングをはがしていく。
私もそれをポルカの横で見ていた。

まさに箱を開けたその時。


びよーーーん

バネで飛び出す仕組みの気持ちの悪いピエロが 、
気持ちの悪い笑い声とともに勢いよく出てきた。


「「ンギャャャャー!!」」


ポルカはビックリ箱を投げた。
私は魂が抜けるほどビックリした。

2人で息を切らしていたら、
最初から様子を見ていたらしい人物が笑っていた。


「ポルカ気づきなよ。
箱、自分がさっき持ってったやつでしょ」

水色の明るい髪に同じ色の瞳。
ポルカと同じように翼が生えていた。
兄弟かな?
どことなく似ているなと思った。

彼は私とポルカの方に近づいてきた。


「オレはショコラ
よろしく」

ショコラは右手を出して握手を求めてきた。
私はショコラの手を握りながら 、


「ニッカです
よろしくお願いします」

と自己紹介を終えた。


「名前あったの?!
なんでさっき教えてくれなかったの?」


「…いや、すぐ話し切替えられちゃったんで…
あの、パンありがとうございました」

美味しかったです。
さっきのお礼も言えたことだしビスケットの所に行こうかなって思ったら、

ポルカが言った。


「朗朗が人間はボク達と違うから朝、昼、夜、
食べ物食べないと死んじゃうらしくて。
餌はちゃんとあげてね。
って言われたから」

えさ?エサ…餌?
私、ペットかなにか?
頭が真っ白になっていた時、
ショコラが言った。


「ポルカ、
朗朗の言った事をそのまま言ったらダメだって。
餌じゃない、ご飯って言うの」


「ごはん…あっご飯ね」


ポルカは、あっそっかと復唱していた。

私はここでどんな暮らしをしていくのだろう。
少し不安になった。


「にしても、ニッカ。
君、格好が汚いね。
とりあえずそのうっとうしい髪を切ってやるから、
こっちおいで」


こっちこっちと手招きするショコラに、
私は不安な足どりだったが、
大人しくついて行く事にした。



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