ドクロとキコリーズ


一方そのころドクロは…。

朗朗から逃げ、キコリーズのお家兼仕事場を目指していた。
キコリーズとは町に住む6人の中の、
職業キコリ。

ポルカとショコラ2人をさすアダ名である。

そうしている内に、ピンク色と水色のレンガを交互に積み重ねた、なんとも奇抜な塀が見えた。

その塀をひょいっと登りドクロはキコリーズの敷地に侵入した。
こっそりと家の裏に回り2人がいる庭を覗く。

ポルカは薪割りを、
ショコラは家の横に4・5本積み上げた丸太の上に腰掛けていた。


「ねぇショコラ、あれ?ドクロじゃない?」

ドクロは右目に眼帯をしているので、こっそり覗いてるはずが、顔全体が壁からはみ出していた。


「ホントだ。1人だったら絶対良くない事があるぞ…」


「…もしかしてノバリと喧嘩したんじゃない?!
んでノバリがドクロなんて大っキライっとか言っちゃってたりして!!」

キャーどうしよ!
と、何に興奮したのか分からないが薪割りしていた斧を放り出し、
顔を真っ赤に染めたポルカを無視しショコラはドクロに声を掛ける。


「ドークロ。 見えてんよー。こっちきなよ」


「あっバレてた?」

ドクロは隠れていた壁から体を出し、二人のいる所に移動した。


「君、眼帯してるの忘れてるデショ。丸見え」


「さすがショコラ…で、なにやってんの。ポルカは」

興奮のしすぎで、さっき投げた斧を拾い、
薪を高速で割っていた。


「いいの。いいの。
ほっといてあげて、仕事もはかどるから」


「あっそ。ならいいけど。
さっき朗朗見かけてさー。
ノバリといたけど逃げて来ちゃったんだよねぇ」


ドクロが朗朗の名前を口にした瞬間の、
キコリーズの心底嫌がり歪んだ顔は、いつもの事。
高速で薪割りをしていたポルカでさえ手を止める。
ドクロは、その2人の顔を見るのをひそかに愉しみにしていた。

予想通りのリアクションが見れたドクロはニヤリと笑う。


「あ…そういえば…
ドクロだけで来る時って、だいたい朗朗来るよね…」

青ざめたポルカが言った。


「ドクロさぁ。
もうここ来るの止めてくんない?」

ショコラが冷たい眼差しで言った。


「なんでそんな事言うんだよ。
嫌悪と悲哀は分かち合えって習ったでしょ」

ドクロが言った。


「どこで習うんだよ!しらねーよ
オレら巻き込むなよー!」

ショコラが文句をたれていると上から声が降ってきた。


「そーそー。 みんな仲良くしよーよ」

あの間延びしたフザケタ声。
一同はピタリと止まり声のした方に視線を向ける。

すると朗朗が屋根の上に立っていた。


「ゲッ。来た来た来た来た」

ショコラはポルカと逃げようとしたが、
その二人の腕をドクロが瞬時にがっしりと掴む。


「ドクロ離してよ!二人で話しすれば?
ボクたち仕事あるし、まったく関係ないし!」

ポルカは早口で、かなり焦っている。


「どこに逃げても同じなら、せめてオレと一緒にいてくれ。
絶対に離さない」

ドクロはさらに力を込める。
本気だ。


「もー。なーんでそんなに嫌がるのかなぁ。
俺、傷ついちゃう」

傷ついて瀕死の重傷で死ねばいいのにと、
その場の3人は同じ事を思っていた。

朗朗は屋根からヒラリと飛び降り3人に近づく。

ショコラは考えていた。

ドクロの手を離させることと朗朗から距離をとる方法を。
もう本当に嫌、手が痛い。


「あーもぅ分かった!逃げないから、
ドクロ、手離せ!
あと朗朗これ以上こっちくんな!」

ショコラは力いっぱい投げやりに叫んだ
この本心が伝わるように。


「よし」

ドクロは「逃げるなよ」と目力で訴えながら、2人の手を離した。

痛い、と涙目のポルカは腕をさする。
手加減無しかよ、と呟いたショコラも腕をさすっている。


「んで。毎度毎度なにしに来るの?
誰も呼んでないし、歓迎もしてないし」

ドクロは朗朗に言う。


「相変わらずヒドイ事ばっか言うねー。
いやねえ、、今日お土産持って来たのよ。
ビスケットの所にいるから会いに行ってやって」


「お土産なのに会いに行くって何? 生き物?」

ショコラが朗朗に尋ねる。
すごい嫌そうな顔で。


「そーそー。さすが鋭いねー。
人間の子供持って来たんだよ」


「ここに入れたって事は怪我人?ノバリに治しにもらいに来たの?」

不思議そうな顔でポルカは言った。
朗朗が人助けだなんて、ある訳ないからだ。


「違うよ、人間の奴隷でねぇ。
偶然会ってさー。
汚い格好に似合わない綺麗な目の色だったし、あとさ。
見えたんだよ、心臓に。
これは面白そうだなーって思ってさ、連れてきたの。
そしたら案の定ここに入れたよー」

何でもない風にケラケラ笑いながら朗朗が言った。
あの狂気の目で。

キコリーズは朗朗の、この目と笑い方が他にも山のごとくある嫌いの1つだった。

そしてドクロが口を開いた。


「病人か」


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