泣く回数が減ったディニーだが、 今日は朝から泣いている。
AM9:35
私は一人、公園に行くことにした。
コートを着て、マフラーを巻いているが、 今日は一段と冷え込んでいる。 外に出て、思わず身震いした。
公園に着いたが、あまりの寒さの為か、 人は誰もおらず、ガランとしていた。
人がいないだけで、公園はこうも淋しく映るのだろうか。
ディニーがいつも乗っているブランコに立って、 行ったり、 来たり、 ひたすらにこいでみた。
何かを忘れるように。
そしたら、 なんでだろ。
さびしい さびしい さびしい
込み上げてきた感情に涙が出た。
それに驚いて、ブランコから手を離してしまった。
私は勢いよく空中に投げ出され、地面に落ちた。
涙のこぼれる戸惑いで、立ち上がれない私は、 地べたに横になったまま。
「なんだよ。ディニーみたいじゃないか」
そう言って、泣き続けた。
しばらくして、
「大丈夫?」
私の頭を優しくなでる手。 ディニーが来てくれた。 私はムクっと起き上がり、地面に足をつけペタリと座った。
「泣いてるサンディー見るの、子供の時以来」
「私も笑ってるディニー、久しぶりにみた」
ブランコから落ちた痛さと、ディニーが笑った嬉しさで、 私は、わんわん声を上げて泣いた。
その間もディニーは、ニコニコ笑って私を見ててくれた。
私達の心にどんな変化が起こったかは、 いまは分からないけれど。
ただ少しだけ、 温かい陽だまりのようなモノが、 寒い冬の公園の私達を包んでくれた気がした。
これからも一秒一刻と変わっていく周りや人達の中で、 素敵な日々を集めていきたいと、心のなかでぼんやりと思っていた。
大切なものをなくさないように。
fin.
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