PM14:07

僕は、窓際に移動させたキッチンの椅子に座り、片足を立て、
立てた膝に顎を乗せて外の通りを、何の気無しに眺めてた。


「ねぇ、ディニー。
オスカーから貰った本にね、
部品の足りないロボットの話があったのね、」

リビングのソファーに、ちょこんと正座をしているサンディーが、
テーブルの上に置いてあるコップを見つめながら僕に話かけた。

僕は視線だけを外からサンディーにゆっくり移した。


「部品が足りないロボットは、部品を補充しようと、他のロボットから盗んだりして手段を選ばずに奪っていったの。
そのうち、補充は終わったのに、集める事を止めれなくなって。合わない部品も無理矢理くっつけて、
ついにロボットは重くて動けなくなってね、それを見つけた他のロボットが、沢山の仲間を呼んで、そのロボットが盗んだ部品とか、元あった部品とかを全部持っていったの。
そしたら、そのロボットはもう形を殆ど残してなかったのね。
そしたら、小さなロボットが、自分の部品を取って、そのボロボロのロボットに付けてあげた。
ボロボロのロボットは、
そこでやっと自分に足りない部品が、何だったか気付いたって話だったの。」

まだテーブルのコップを見てるサンディーを、
僕は、コップの水に何かあるのかな?と、話しを聞きながらも、そっちが気になり始めていた。

「それでね、私に足りない部品を補おうと思って、
ネジ買ってきたの」

右ポケットから、小さな紙袋を取り出したサンディー。
紙袋からコロンと音を立て銀色の小さなネジが二つ出てきた。

僕は目を見開いて驚いた。そして嫌な予感。

「…サンディー?まさか…それ」

サンディーは僕を見て、いつものヘラヘラの笑顔で、

「ディニーの分も買ってきたんだぁ」

と言った。


「あの…サンディー、そのお話、ネジ食べればいいって訳じゃないと思う…んだけど…あ…」

サンディーはネジをつまんで口に入れ、置いてあるコップの水で一気に流しこんだ。


「…食べちゃった…」

僕は絶対に食べたくなかったので、
テーブルに残った、もう一つのネジを掴んで、勢いよく窓から投げ捨てた。

こんな話を書いたオスカーを僕は少し恨んだ。

絶対お腹を壊すだろう。
と、僕はあきれながらも、サンディーがとても心配になった。

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