サーカステント



ピエロから白と赤のマーブル模様の風船を貰ったディニーは、とてもご機嫌。

「さ、着いた」

図書館に着いた私達は、目を丸くした。

【休館日】

「ありゃりゃー。サンディー残念だったね。
でもまた来ればいいよ」

うん、と私は頷いた。
本は逃げないからね。とオスカーは続けた。

「ねー!いまからどーするの?」

ディニーがブーブと鳴く。

「あ…さっきディニーが風船貰ってたピエロって。空き地に来たサーカスの宣伝だったよね?
いまから見に行く?」

私とディニーは互いに目を輝かせた。

「いいの?いいの?見に行っても!」

声を張り上げた私にディニーが驚く。

「だいじょーぶ。だいじょーぶ。こう見えても二人にサーカスを見せる金は持って来てる」

私達はお金も持ってないから、オスカーに頼るしかない。
私の気持ちを分かってくれるオスカーは、心が読めるのではないかと思った。

「んじゃ、行こーか!!」

オスカーが元気よく問い掛ける。

「「おー!」」


サーカステントの空き地に近づくに連れて、人が多くなってきて街が騒がしく浮足立っているみたいだ。

「はぐれないでね。はい、チケット。
はぐれちゃったら、とりあえず中に入ってサーカス見終わったら、
あそこの旗の所から動かないようにね。これ約束よ」

迷子になったら大変だからね、とオスカーが言った瞬間には、ディニーは消えていた。

「サンディー………ディニーは?どこ行った?」

「………さぁ。」

はぁぁと大きく溜息をはいたオスカーに、

「チケット持ってるし大丈夫だよ」

と声をかける。

「まっ、そーだな。後で会えるか。それにしても消えるのが早いよなぁ」

オスカーは笑いながら感心していた。

「さぁ、そろそろ始まるみたいだ。中に入ろう」

私ははぐれないようにオスカーと手を繋いだ。

やっぱりオスカーの掌は暖かくて、男の人の手なのに柔らかくて安心できる。

繋いだ手に、ぎゅっと少し力を入れた私に、

「大丈夫、はぐれないから」

と優しくオスカーは言った。


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