図書館へ行こう



「サクラがいないなら、図書館なんて行かない!」

ディニーは寝室に篭ってしまった。
こうなったらディニーは出てこないだろう。
どーしようかと、ふとオスカーを見ると、寝室の扉の前に移動していた。

「いいのかぁ〜。ディニー
ディニーが行かないなら、サンディーと二人で出掛けるぞ〜。
そ〜だ!図書館に行くとは限らないんだけどなぁ〜。
サンディーと二人で行ってこよ〜かなぁ」

扉に近づいてわざと大きな声で言うオスカー。


…ガチャ。

「だめ…。サンディーと二人で出掛けちゃだめ。
…僕も一緒に行く」

ふて腐れた顔でディニーが出てきた。

「よし!ディニーはもう、その服でいいな。サンディー支度は出来てるか〜?」

振り返るオスカーに問い掛けられ、こくこくと頷く。

「よし、じゃあ行くか!昼ご飯はサクラがお弁当作ってるって言ってたから、それ持ってピクニックな」

楽しいそうに笑うオスカー。
繋がれた手も悪く無いと思ってるだろうディニーの顔は、不機嫌から無表情に変わっていた。

私は台所からサクラが用意してくれてたお弁当を持って、二人の待つ玄関へ急ぐ。

「いつまで手繋いでるの?
僕逃げないから離してよ」

ディニーがオスカーに言う。

「あ、ごめんごめん。ちょっと手が寂しかったから」

手を離して自由になったディニーは私の手を握った。
大人の、しかも男の人を異常に怖がるディニーにしては、よく手を繋いでいたな、と私は不思議に思っていた。

「サンディー。お弁当持ってあげるから、かして」

ほいほいと手をひらひらさせるオスカー。
私はお弁当の入ったバスケットを渡した。

そしてアパートの階段を下り、エントランスを目指す。

外に出たら、まだ風は冷たいが、本当に良い天気。

「まぁ。一応最初は図書館行くぞ〜!サクラから頼まれてるからね〜」

一足先を歩くオスカーは振り返り私達を見ながら、同意を伺う。

「私図書館好き」

「僕図書館嫌い」

「俺公園が好き」

「………。」

何だか会話が成立してないけど。

「変な大人!」

ディニーがオスカーに駆け寄る。

「俺は大人にはならない!
俺は旅人だ!」

オスカーは両手を腰に当て、ずぃっとディニーに顔を近づける。

「旅人…?」

きょとんとするディニーは首を傾げた。


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