オスカー・リンクス


それから数日後。

「こんちわー!サクラいる〜?」

元気のよい声が、玄関を開ける音と同時に響いた。

「無用心だよー!もう言いあきたけど、でも習慣は大事にしないとね」

サクラは玄関の鍵を閉め忘れすぎて、常時鍵が掛けられていない。

気付いた時は私、サンディーが閉めるようにしてたんだけど、今日は忘れていた。

「オスカー!いい所に来た!私今から、仕事の呼び出しかかっちゃって。
二人を図書館に連れてってくれないかな?」

オスカーと呼ばれた、サクラと歳が近そうな男の人は、いいよ〜。と軽く返事をした。

私とディニーは、オスカーに聞こえないように、サクラの服の袖を掴んで、

「やだよ。誰?あの人?サクラ図書館行くって言った!」

小さい声でディニーが抗議する。

「ねぇ。あの人誰?怖い人には見えないけど…大丈夫?」

不安で私も口をすぼめる。

サクラは目を点にして、

「あれ?会うの初めてだっけ?ごめん。紹介したと思ってた」

笑いながらサクラは言って、袖を引っ張ってた私達の手をそれぞれ取って、
オスカーって呼ばれた男の人の前に連れてった。

「あらら、可愛い二人だこと
初めまして。俺はオスカー・リンクス
オスカーでいいよ。
このアパートに住んでて、サクラの友人」

オスカーは人懐っこい笑顔で自己紹介した。
少し、たれめが印象的。

「初めまして…私はサンディーで…す」

私の挨拶はうまくいったが、問題はディニーだった。

「やだ!サクラと一緒がいい!」

駄々をこね始めた。

「この子はディニー。サンディーの双子の弟。んじゃ図書館宜しく!
やばい!時間ない!
お昼は台所にサンドイッチ作ってあるからみんなで食べてね!」

サクラはディニーの我が儘をスルーし、急いで玄関を後にした。

部屋に残されたのは、
笑顔のオスカー。
どうなるんだろうとディニーを見る私。
サクラが出て行った後を泣きながら見つめるディニー。


これがオスカーとの初めての出会いだった。


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