助けられた二人



あれからとりあえずは泣き止んだ男の子と、私のアパートに着くまでに、
男の子の名前がディニー、私がおんぶしている子は双子の姉サンディー。
歳は12歳と言う事を話してくれた。

アパートに着き、シングルサイズのベッドにサンディーを寝かせて、ディニーをお風呂に入れようとしたけど、
キッチンから戻った私が見たのは、
サンディーにぴったりと寄り添って寝息を立てるディニー。

「あーあ。もう寝ちゃってるよ。さぞかし疲れたんだね。
ベッド狭いだろうけど我慢してね。
おやすみ、いい夢を」

そう言ってサンディーの左頬、ディニーの右頬にキスをして、部屋の電気を消し私は足音を立てないようにリビングへ移動した。

色々考えるのは、明日にしよう。
そう思い私は掛けている黒縁眼鏡を外した。

ベッドはあの子達に譲ったので、私はリビングのソファーで眠りにつく事にした。


「うぅ…。」

外の光りが眩しくて目が覚めた。

―…あれ?ここどこだろ…―

ふと横を見るとディニーがスヤスヤ眠っている。
部屋を見渡すと、見覚えの無い物ばかりが並んでいる。


「ディニーがいるって事は助かったのかな??でももしかして夢か…まっまさか死んで天国…?
あ…でも何だかいい匂いがす…」

ガチャ!と、
勢いよく部屋のドアが開いた。

「起きてるかなー?お?サンディー目が覚めた?おはよう」

知らない女の人の元気のよい声が響く。
あれ?何で私の名前知ってるんだろ?

「おはようございます。あの…」

控えめな声でとりあえず挨拶をして質問しようとした時、

「あ、朝食できたけど、先にお風呂入る??どっちでもいいよ?」

質問しようとして、質問で返されてしまった。
私はよく分からないまま、ディニーも寝てるし、先にお風呂に入りたいと伝えた。

「よしよし。じゃ案内するから、こっちおいで。」

優しい笑顔が手招きしてくれる。
この女の人は、とても信用できる気がした。

お風呂に案内され、湯舟に浸かって、昨日のフレイムの言葉を思い出していた。

―…この先に、今までとは違う世界が待ってるよ…―


思い出したら、堪らなくフレイムに会いたくなった。

この殴られた体の痣は、いつか消えていくだろう。
だけど、私達の心に残る目には決して見えないけど、確かに感じる深い傷は決して消えはしないのだろう。

そう思うと無性に心の奥が痛くなった。


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