「よし、と」
ポルカに氷を作ってもらい、
ショコラに朗朗の様子を話すと、
反省してるみたいだからと解毒剤も貰ってきた。
すっかり寝てしまっていた朗朗を起こさないように額にそっと氷袋を乗せる。
ふと、解毒剤の小瓶を取り出して、
その青い色の綺麗な液体を眺める。
「IQ…」
起きたのかとビックリして小瓶を落としそうになった。
だが朗朗は相変わらず寝息を立てている。
「寝言か…って何で俺、ビックリしてんの?」
苦笑いで独り言。
純粋に俺のことだけを頭の中でいっぱいにしている朗朗を見ていられるのが、
素直に嬉しくて。甘やかしたくなる。
「なに笑ってるの?俺、死にそうなのに…」
薄ら目を開いてこちらを見ている朗朗。
今度は起こしてしまったみたい。
顔色はまだまだ青く体調が悪いのには変わりなさそうだ。
「笑ってないよ。
もう離れないから安心して夢の続きでも見てろ」
「…帰えって来てたのに起こしてくれなかった」
眠ってたから起こさなかったのに。
全くコイツはどんな時でも揚げ足を取ってくる。
俺は頭をかいた。
「IQ、離れないって今の言葉、
形にして証明して。
そしたら俺、信じるから」
風邪じゃなかったら本当に聞く耳さえもたないのに。
何だかなぁ。
調子が狂うというか…
「はぁ…どう証明すればいいですか?
お姫さま」
悪かった顔色がまた赤くなり、
朗朗はいつもとは違う小さな声で言った。
「キスして下さい。王子様」
もぅ、ため息しか出なかった。
ショコラ、風邪薬の他に何か入れたんじゃないだろうか。
本当は解毒剤を使わずに風邪が治るまでの間、
朗朗を独り占めしておきたいとも思っていた。
だが、こんな朗朗といたら俺は、
マズイことになってしまうかもしれないと考え直して。
小瓶の青い液体を口に含み、
朗朗へくちづけを。
「解毒剤。これ飲んでさっさとベッドから出ていけ」
「IQ…大好き」
そして朗朗はゆっくりと眠りについていった。
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