※このお話は本編とは関係ありません。
生き返ってからだいぶん経った頃。 ある日をさかえに、 毎晩夢を見るようになった。
最初現れたのはたくさんの死体の中に立っている夢。 横を見ると朗朗に良く似てるような、全然違うような雰囲気の人が立っていて、 私に向かってこう言った。
「西区殲滅完了だな、帰ろうドクロ」
ドクロ…?私が…?ぼんやりした思考のまま見た両手は血だらけだった。
恐怖で意識が夢から現実に引き戻された。 汗まみれだったけど怖くて怖くて、 IQが寝ているアトリエに飛び込んだ。
次の日は大きな鏡が目の前にあって、目線を上げていくと、 そこに映っていたのは、 あの時もとに戻った彼よりは少しだけ幼い感じのドクロの姿だった。
凍りついてしまいそうなほど冷たく自嘲めいた瞳に、目が覚めた。
あの瞳を思い出すと涙が止められなくて、 またIQに泣きついた。
さすがに心配したIQが、ドクロの瞳を移植した時の副作用ではないかと疑いを持ち、 私を連れてショコラの研究室へと向かった。
ショコラは、うーんと唸り一言。 多分ドクロの目に写った映像の記録だろうと結論付けた。
ということはこれはドクロの昔の記憶たち。 過去を詮索するつもりはないけれど、 ドクロには内緒にしておこうという事になった。 私がドクロの過去を見てるなんて本人も嫌な気分になるだろうから。 ショコラからドクロは昔、魔女との戦場の前線にいたから見たく無いものまで見てしまうだろう。 寝不足になるなよと珍しく心配された。
夢はどんどん長く映像化するようになっていた。
正直、眠ることが怖くて仕方がない。
寝まいと決心していたが、夜中三時前。 限界がきてしまい瞼が閉じる。 聞こえてきた声に自然と耳をすます。
「戀々と夜々が?…オイ…それは朗朗に伝えた上、了解の元に行ったんだろうな…」
ドクロの声だ。 ひどく低い声で少し…震えている? 戀々と夜々…始めて耳にした名前に、これはドクロの過去の記憶だと思い出した。
「…なぜオレに伝える…」
「まさか!内密に実行しろとのご命令ですので、 今回の実験は朗朗の左手に二人の目玉を移植。 移植自体は成功しましたが魔力が上がっているかは次の魔女討伐に…!!」
「なぜ!オレに言うんだ!!!」
ダンっ!と横にある壁を殴りつけたドクロ。 もうそれ以上話すなと意思表示されていた。 さきほど話していた人物はそそくさと、 報告しましたからね!と小声で去って言った。
悪魔の国では、 強い者を造る為の実験が行われていたのではないか… それに朗朗やドクロが巻き込まれていたのではないか?
この目はやはりドクロに返すべきではないのか…
私はそう考えるようになった。
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