絶望の色は黄色だった




私の両親はスリザリンだ。
偶然にも学生時代、学年は違えどパパとルシウスさんは交流があり、ママとナルシッサさんは親友だった。
そんな家族ぐるみの付き合いだから、私とドラコは幼なじみなのだ。
ちなみにパパもルシウスさんも同じ組織に属しているらしく、関係は深い。
ママとナルシッサさんは本当に仲が良くて、二人はしょっちゅう私とドラコを結婚させたいと言っている。
(結婚なんて、今からそんな話わからないのにね。)
私の家の財力はマルフォイ家には劣るけれど、それなりにある。
大きなお屋敷に住んでるし、屋敷しもべ妖精もいる。
寄付金がなんとかで、魔法省やホグワーツに何か口出しできる権力もあるらしい。
(ドラコはすごく誇らしげだったけど、私には何がいいのかわからない。)



ママは学生時代、ちょっと変わっていたらしい。
スリザリンの中でも異端児めいた所があって、他の寮のマグルに話しかけたりしていたとか。
そんなママとなぜナルシッサさんが親友で、なぜパパが結婚したのかは謎だが、そんな関係が今あることを本当に嬉しく思う。
私はスリザリンで一風変わっていたママの娘だから、スリザリンの異端児になってしまうのではないかと考えたり少し心配になっていたりしたのだが、まさか、スリザリンの異端児どころか、スリザリン以外の寮に組み分けられてしまうなんて考えもしなかった。



「ようこそ、今日から君はハッフルパフ生だよ!」

「よろしくね」



テーブルにつくなり上級生たちが私に話しかける。
私は精一杯笑顔を浮かべながらそれに応えようと必死だった。
奥のテーブルにはドラコがいる。
彼と私が別々のテーブルに座っていることに、どうしようもない不安を感じる。
前の上級生のネクタイを盗み見た。
黄色だ。
奥のスリザリンのテーブルの生徒を見ると、みんな緑のネクタイをしている。
私は、あのネクタイをするはずだった、のに。



「ハッフルパフ!」



次々に私の隣にハッフルパフに組み分けられた同級生たちが並んでいくが、私は見なかった。
これから一緒に生活していく仲間なんだから、挨拶くらいしないと。
そうわかっていても、できない。
クラッブとゴイルがスリザリンに組み分けられていくのを聞きながら、私はゆっくりとテーブルに突っ伏した。

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