今日もナマエがグリフィンドールの談話室に遊びに来ている。
もう彼女はすっかりここに馴染んでいるように思う。
始めはナマエがいるのを見てパーバティが悲鳴をあげたり、パーシーがあからさまに嫌な顔をしたり、シェーマスが持ち物を全部落としたりしたけど、今ではもう受け入れられている。
「ううん、そうじゃなくて…」
ナマエが首を振ってペンを持った。
ジニーに勉強を教えているところだ。
ジニーも始めはナマエを警戒していたが、今ではすごく慕っている。
絶対に兄である僕より彼女のことを慕っている…。
ナマエがあんなにいい子だったなんて知らなかったわ!なんて言っていた。
「前のナマエが嘘みたいだね」
二人で同じ本を覗き込んでいるナマエとジニーを見ながらハリーが言った。
二人は楽しそうに話している。
ハーマイオニーがこちらに向き直って言った。
「女の子は好きな人のためなら、いくらでも変われるってことよ」
「ナマエの場合、悪い方に変わったけどね」
僕の言葉にハリーが頷く。
ハーマイオニーも同意しつつ少し切なそうな顔でナマエを見た。
「それに、それだけマルフォイが好きだったってことよ…」
ナマエは好きになる人を間違えたと思う。
きっとあいつにはナマエの魅力はわからないんだろうな。
だってあいつ、根っからのスリザリン、みたいな、性の悪い女が好きそうだし。
前のナマエみたいな…あ、だから彼女は変わろうとしてたんだ。
「ナマエはまだマルフォイが好きなのかな」
「好きなんじゃないかしら…一度好きになった人をそう簡単には嫌いになれないと思うわ」
「ナマエは見る目がないね」
「ほんとよ」
ハーマイオニーはため息をついて分厚い本を開いた。
するとナマエがジニーを連れてこちらにやって来た。
勉強を教え終わったらしい。
「どうしたの、ハーマイオニー。そんな不機嫌な顔して」
「君の話をしてたんだよ」
「え、私?」
「君は男を見る目がないって話さ」
ナマエは苦笑した。
ジニーが不思議そうな顔をした。
好きな人がいるの?と問う。
ナマエは小さく頷いた。
「やっぱりまだ好きなんだね」
「うん、まあね…」
「でも、このままじゃパーキンソンに取られ…はしないけど、仲直りできないわよ」
「いいんだ、できないから…」
ナマエが俯いた。
急に重い空気になってしまった。
そんな沈黙をハーマイオニーが座り直しながら破った。
「私、マルフォイが嫌いよ。でもナマエが彼を好きなら、結ばれてほしいと思うわ」
「ハーマイオニー…」
「あなたをマルフォイに渡したくないのは山々だけれど…」
「嬉しい、ありがとう…でも、今の私じゃ無理だよ」
ナマエは悲しそうに笑った。
僕は彼女にアメを渡した。
ナマエはそれを受け取ってまた悲しそうに笑う。
なぜかハーマイオニーに睨まれた。
「大丈夫よ、私も協力するわ」
「ハーマイオニーがそう言うなら…」
僕もできるだけ、とハリーも言った。
仕方なく僕も頷いた。
ジニーが目を丸くして叫んだ。
「ちょっと待って…ナマエってマルフォイが好きなの!?」
「しっ!」
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