「朔さん、お腹減った」



ベッドで俯せになりながら呟く。もう動けない。服を着る気力すらない。でも隣にいる朔さんはそんなことなさそうだ。これが俗に言う絶倫ってか。


「すぐに作らせるから待ってな」
「ん、」
「でもその前にナナシは風呂だな!」
「えー」
「そんなべたべたした身体でメシ食う気かよ?」
「だけど身体だるい」
「なら風呂場まで運んでやるよ」



下着だけを身に着けた朔さんがよっ、とわたしの身体を持ち上げる。



「朔さんもシャワー浴びたほうがいいですよ」
「そーだなあ、今回はやりすぎて汗めっちゃかいたからな」
「…そーいうこと言わないでください」
「ナナシかわいかったぞー?」
「っ」
「赤くなっちゃってー」
「なってないっ」



お風呂場に到着し、朔さんがシャワーのコックをひねる。あれ、出て行かないのかな。ていうか朔さんいつのまにかタオルを腰に巻いてるんだけど。



「ナナシ立てるか?」
「え?」
「今日はおれがキレイにしてやるから」
「じ、じじじ自分でできますそれくらいっ」
「いーからいーから!今日がんばったご褒美!」



ご褒美でもなんでもない気がする…ともう少しで口にしそうだったけどここであーだこーだ言うのに残りわずかな体力を使いたくなかったし、なにより彼の好意を無下にすることに対してなんだか気が引けたので大人しく従うことにした。



「中ってどーやったらいい?」
「どうって…」
「指入れて掻き出せばいいのか?」
「う、ん」
「よっしゃ」



朔さんの長い指がつぷ、と入ってきて、それだけで身体が反応してしまう。多分何度も擦られていたせいで敏感になっているんだと思う。わたしは浴槽の淵に置いていた手に力を込める。



「やば、」
「ん…?」
「また勃ってきた」
「も、無理だから」
「わーかってるって」



もう今日はやんねーよ、と言ってわたしの頭を撫でる朔さん。こういう辺りは大人だな、ってつくづく思う。朔さんは中を綺麗にした後、べとべとになった身体や髪まで洗ってくれた。



「じゃ、次はおれだな」
「朔さんありがとうー」
「別にいいって!つーかお前まだここにいるのか?」
「え、なんで」
「いや、今からヌこうと思ってんだけど」
「一人で?」
「おう、だってナナシ疲れてんだろ?」
「うん」
「だったら先に出てメシでも食ってな」
「朔さんて優しいよね」
「そうか?」
「うん、そうだよ」



そして座っている彼の肩に手を置いて頬にキスを落とした。