「ナナシ、そろそろ挿れるぞ?」
「……ハイ」
「ハイってなんだよ」



朔さんが笑いながら自身を私の中に埋めてくる。あまりの圧迫感に息が詰まりそうになり、そんな私に気づいたのか朔さんに窒息死すんぞ?とからかわれてしまった。誰のせいだっつの。



「ナナシがおれのをうまそーに飲み込んでる」



ほら、と手を掴まれ結合部に持って行かれる。私は羞恥心で顔が赤くなるのを感じた。普段こんなことしないのに。



「顔赤いぞー?」
「うる、さいっ」
「うっ」



むかついたから朔さんの分身を思いっきり締め付けてやった。これは応えたらしい。



「てめっ、ナナシ!」
「ザマーミロ」
「すぐに後悔させてやるからな!」



朔さんが律動を始める。最初っから激しいうえに、私の好きなところを心得ているためそこばかりを突いてくる。



「あっ、やだ、やっ、そこばっ、か…!」
「後悔させてやるって、言っただろっ」
「んう、うっ、んっ」



動きを止めることなくキスをされて、得られる酸素の量が少なくなったにもかかわらず声が止むことはない。ベッドのスプリングがギシギシと音を立てる。唇が離れて、朔さんの顔を見れば額に汗がにじんでいる。私は押し寄せる快感に耐えながら、それを触ろうと腕を伸ばすが、リーチが足りずその手は空をきる。それに気づいた彼は動きを止め、不思議そうにこちらを見た。



「どうした?」
「ん、朔さん汗かいてる」
「そりゃ、ナナシを気持ちよく、いや、後悔させるために頑張ってるからな」



朔さんが顔を近づけてきたため、やっと額に触れることが出来た。私はそこに付いた水滴を掌で拭う。



「朔さんの汗」
「汚ねーからそこらへんで拭いとけ」
「ヤだ」



朔さんの言葉を無視して私は自分の掌をべろんと舐めた。



「!?」
「朔さんの汗おいしーよ?」
「っ」



ベッドで仰向けになったままそう言えば、エロすぎだろ、って再び深くキスをされる。だってあんな真剣な顔をしている朔さんを見たことなかったんだもの。