部活の休憩中にドリンクがほしくなって一人で体育館を後にした。体育館と自販機の場所が近くてよかったー、と思いながら財布の中身を確認する。よし、小銭あるな。角を曲がると自販機があり、そこにはよく知ったカオがいた。いや知ったカオというか彼女? 「ナナシなにしてんだ」 「え?あ、大地!大地こそ何してんの」 「おれは飲み物買いに来ただけなんだけど…てかなにその恰好」 「見ればわかるじゃん!」 「え、発情中?」 「自販機の下にお金が転がっただけですケド」 地面に這いつくばりながらお尻突き出してたらそう見えてもおかしくはないだろ。ていうかこの姿誰かに見られてないだろーな。 「どこに転がってった?」 「こら、しゃがんだと同時に太ももなでるな」 「あー、あそこか」 ナナシのリーチなら到底無理だがおれならなんとかいけそうだ。よっ、と腕を伸ばして100円玉を救出した。 「わ、ありがと大地!」 「いいけど、スカート短いんだからそんな恰好するなよな」 「周りに誰もいなかったからいいかなーって」 「おれみたいに部活中のやつも結構いるだろ」 「そうだけどさー」 「口答えしない」 「はい…」 おれは自販機に視線を戻し小銭を投入する。幸いスポーツドリンクも売り切れにはなっていない。 「で、ナナシは何飲む?」 「おごってくれるの?」 「ん、ナナシだから特別に」 「じゃあ大地と同じのがいい!」 「ポカリだけどいいか?」 「うん!」 「あ、今日もいつもの時間に終わるから」 「うん、そこらへんうろうろしながら待ってるよ」 「図書室にいろって」 「え?」 「探すの面倒だし、歩き回ってたらまたヘンなことしてるかもしれないだろ」 「ちょ、ひどくない!?」 |