「ああああああっついなあ…!」
「そりゃ夏だからな」
「大地、手ぇ離してもいい?」
「だめ」
「えー…」



学校の帰り道私はがっくりとうなだれる。もう夕方だというのに何なのだこの蒸し暑さは。おかげで繋いでいる方の手は私と大地の手汗でベッタリ。



「手汗やばいよ」
「別に気にしないけど?」
「私だって気にしないけど…」



暑さに対する耐性はあまり持っていない。少しでも涼しさを感じたくて空いている方の手で制服のボタンを一つ外す。あ、風通しがよくなって少し気持ちいい。



「お、胸見える」
「バカ」
「汗かいててなんかやらしー」



私は手をつないでいる方の手で大地の腰にパンチを食らわしたが、まったく効かなかった。むしろちょうどベルトの部分に当たってこっちが痛い思いをするはめになった。



「うち来る?」
「んー、どうしようかな」
「飲み物出すけど?」
「行く」



私もとことん物につられやすい人種だなほんと。彼の家に着き、中に入るとひんやりとした空気が身体全体を覆った。



「飲み物用意するから部屋で待ってて」
「はーい」



私は言われるがまま大地の部屋に向かう。今までに何回も来てるだけあって、こんなのは慣れたものだ。彼の部屋はキレイすぎず汚すぎず、相変わらずシンプルだった。私はベッドを背もたれにして床に座って大地を待った。少しして彼がグラスを二つ持って現れた。



「ウーロンしかなかったけどいいか?」
「うん、飲めればなんでもいいよー」
「あ!まだ飲むな」



私がグラスを少し持ち上げたところで制止される。



「なんで?」
「今日はおれが飲ませてあげるから」
「??どーいうこと?」



私が首を捻っていると、大地は自分のグラスのウーロンを飲む。なんで自分だけ飲んで私に呑ませてくれないんだと少し不満に思った。だけど、そんな不満は一瞬で消え去る。突然目の前に見えるのは大地の顔のみとなったからだ。一人驚いていると、開いた口の隙間から液体が流し込まれ、その味からウーロン茶だと理解する。そして小さなリップ音を残して唇が離れる。



「っは、びっくりしたっ…、」
「はは、ナナシの制服汚しちゃったな」
「もう、どーしてくれんの…」
「なあ、もう一回していいか?」
「え、」



私が答える間もなく、再び口付けられる。そしてまたウーロンが流れ込んできた。そして二回目にしてなかなか呼吸方法が難しいことに気付く。間違ってムセでもしたら大地の顔にウーロンを吐くかもしれない。しかも先ほどと違ってキスをしながら胸を思いっきり触られている。私は下半身が疼くのを感じた。



「んっ、ふぅ、っ」
「気持ちいい?」
「う、ん…」



唇を離した後は私の首や胸元など制服の上から露出しているところを舐められる。やだな、さっき汗かいたのに。



「ナナシしょっぱい」
「も、汚いからやめて」
「ナナシは汚くなんかない」



そう言って舌先で首筋をスゥッ、と舐め上げられる。私は無意識に太ももを小さく擦り合わせていた。



「ムラムラしてきた?」
「大地のせいだよ」
「…もう、少し熱くなってきてる」
「やっ、触らないで…」
「触ってほしいの間違いデショ?」
「もう…」



恥ずかしくなった私はそれを隠すように大地に抱き着き、首筋に顔を埋めた。すると今度はスカートをめくって下着の上からお尻を厭らしい手つきで撫でてくる。



「ナナシー?」
「…なに」
「おれの、勃ってるの分かる?」
「…………わかんない」
「わかってるくせに」



大地はそのまま私を抱え上げてベッドの上に移動した。ベッドで仰向けになりながら、これからまた大汗かいて喉もカラカラになるんだなと思うと少し憂鬱な気持ちになったが、この下半身の疼きを取れるのは大地しかいないのも事実。大地は私の脚を膝立ちで跨ぎながらシャツを脱いでいる。



「大地も汗かいてる」
「舐めてくれる?」
「やだ。起き上がるのメンドい」
「ナナシはわがままだなほんと」
「そんなことないし」
「ほらスネないの」
「何でもいいから早く、」
「もう仕方ないな」



彼の腕が私の顔の横に置かれ、私たちは唇を重ねた。