現パロ(同棲ネタ)



「ナナシ、ヒマだ」
「テレビでも見てたら?」
「こんな真昼間からおもしろい番組なんてやってねーだろ」
「じゃあ本読んだら?」
「今までオレが読書してんの見たことあるか?」
「んー…一度もない」



私はリビングのテーブルでノートパソコンを開いていた。目的はネットサーフィン。暇な時はこれに限る。



「なあ暇だからヤろーぜ」
「やるって何を?」
「セックス」



ジャンがテレビの前に置かれたソファでだらけながらそう言う。



「やだよ」
「ナナシだって暇だろ?」
「暇じゃない」
「ネット取り上げたら暇になるだろ」
「取り上げたら一生口きいてやらない」
「ひでえな」
「ひどくないよ」
「パソコンとオレどっちが大切なんだよ」
「今はパソコン」
「なら、後では?」
「…ジャン、うるさいから静かにして」



ジャンが他愛もないことばかり聞いてくるせいでインターネットで見ている中身にが全然頭に入ってこない。というか彼は時間があればセックスしようと言ってくる。私のことなんかただの性欲処理としか思っていないのではないだろうか。そう思うと途端に悲しみがこみ上げてきた。



「ネット見終わったらヤろうぜ」
「…やだってば」
「なんでだよ?」
「そんなヤりたいならそういうところに行けばいいでしょ」



涙で目の前が霞む。視界が狭まり、声が震える。私の変化に気づいたのかジャンが側までやってきた。



「な、なんで泣いてんだよお前…」
「泣いてない、っ」
「…泣くなら胸貸すぞ?」
「そんなのいらない」
「いいから泣くなって」



彼の胸に顔を押し付けるようにして、抱きしめられる。



「泣くならオレの胸で泣け。全部受け止めてやるからな、」
「っ、誰のせいだと思ってんのよ…」
「へ?」
「どうせジャンは身体目当てで私と付き合ってるんでしょ」
「はぁ!?」
「だっていつもセックスのことしか考えてないし」
「んなわけねーだろ!好きじゃなきゃこうやってお前の涙も受け止めねーしお前んナカに精液も出さねーよ!」
「………精液とか…バカでしょ…」
「なに!?」
「…私、ジャンのこと変態だけど好きだ」
「おま、今余計な言葉入ってたぞ」
「そんなことない」
「まあ、オレもナナシのこと好きだけどな」



そう言って頭を撫でてくれた手が心地よくて私は思わず目を細めた。そして、彼の衣服で涙を拭い去った。