※現パロ(高校生)



「おい、」
「ん?なんだ?」
「もう一個ボタン止めろ」



学校の屋上にて二人で昼食をとっている際に、オレはいつもより多く肌色をのぞかせている彼の制服を指さした。男とはいえいくらなんでも見せすぎだろう、コレは。暑いのはわかるが、オレとしては喜び半分不安半分だ。汗ばんだ首筋を見るとかぶりつきたくなる。



「…なんでだよ?」
「……目の毒だ」
「ひっでーな」
「いいから閉じとけって」



両手を伸ばしてボタンを閉める。だけどそれはすぐにエレンによって外されてしまった。



「テメェ……」
「暑いんだから閉めんな」
「変なヤツに狙われてもいいのかよ?」
「それはお前だろ」
「………」



あまりにも強気でたまに心が折れそうになる。いやいや、踏ん張れオレ。こんなのいつものことだろうが。



「…………」



再度無言でボタンを閉める。だが、やっぱり無駄だった。



「もー!何なんだよオマエ!?」
「お前こそそんな肌見せやがって!どーいうつもりだ一体!」
「暑いからに決まってんだろ!」
「んなことして誘ってんのかお前は!」
「はあ!?んなわけないだろバカ!」



ぎゃーぎゃーと屋上で口論しあうオレたち。周りに人がいなくてホントに助かった。くそ、口論したせいでよけいに暑くなってきた。日陰にいるとはいえ吹いてくる風は熱を帯びていてかなり暑い。



「つーかそんな暑いなら中行こうぜ?」
「そりゃ、出来るならオレだって行きたいけどさ…!」
「けど?なんだよ?」
「………なんでもねーよっ」



フイ、と顔を逸らすエレン。あれ、なんか顔赤くねえか?オレは身体を動かして下から覗き込むようにしてその顔を見る。



「馬面見せんな」
「うっせ、こちとら生まれた時からこれで過ごしてんだ」
「そうか、可哀そうだな」
「…おい、言いかけたことは最後まで言えって」
「…何も言いかけてねえし」
「うそつけ」
「うそついてねえ」
「んなことばっか言ってっと残ってる菓子パンオレが全部食うぞ?」
「な…!」



どうにもエレンは食のことになると弱いらしい。まあもっと弱いやつも知っているが。オレはそばにあったまだ空けてないパンの袋を手に取り、それを自分の後ろに置いた。



「おい返せよな!」
「言いかけてたこと教えてくれたら返す」
「だから何も言いかけてなんかないって!」



パンを奪回すべく近づいてきたエレンの肩を押し返してそれを阻止する。今気づいたけど意外とリーチねえのな、こいつ。



「早くしないと午後の授業始まっちゃうだろ!」
「まだ15分あるだろ」
「あと15分しかない!」
「じゃあ早く白状しろって」



ちょうどオレの近くにきていたエレンの頬を舌先でツゥ、と舐め上げてやったら、大人しくなった。こーいうとこが可愛いんだよな。エレンはゆっくりとオレから離れてすとんと地面に座り込む。



「………だろ」
「え、なに?」
「……なが…と、……‥ない…ろ」
「イヤイヤ、声小せーから」
「…っ、みんながいるとこんな風に話せないだろ……!」



顔をさっきより赤くしてそう言うエレン。ていうかちょっと逆ギレ?でもこの表情ヤバい。写メ撮ってもいいだろうか。しかしケータイを尻ポケットから取り出した瞬間、それはエレンによって地面にたたきつけられた。ひでぇ。



「つーか、お前でもそういうこと考えてんだなあ…」
「なんだよ、考えてたら悪いのか」
「んなことねえけど。まあ、確かにこんな風にはできないよな」
「周りに神経を尖らせるのはイヤだ」
「ぶはっ、お前がそんな神経持ち合わせてるとか初耳なんだけど…!」
「うっせ!つーかいい加減パン返せ!」



ホラ!と手だけを前に伸ばすエレン。オレはその手を掴んでぐい、と引っ張って無一文に結ばれた唇にキスをしてやった。