マスターとの楽しい日々! | ナノ
:: I'm devoured.

「シーザー泣き止んで」
「ううっ、どうしてお前はいつもオレを泣かせることばかりするんだナナシ…!」
「シーザーが泣き虫なだけだよ」
「じゃあその肩に置かれた手は何なんだ、エェ!?」



泣いていたかと思えば今度はキレ出した。怒ってるシーザーもなんか可愛いな、ってそんなほんわかしてる場合じゃない。天下の七武海が空気になりつつあるじゃないか。



「フッフッフ、随分と乱心だなシーザー!」
「アンタのせいだろうが!ナナシから離れろッ」
「…ナナシ、こいつはいつもこんななのか?」
「はい」
「ジョーカーと話すんじゃないナナシ!」
「えー」
「反抗期かこの…!」



ドフラミンゴさんはこのままではいつまでたっても変わらない状況に苛々してきたのか、私の肩に置いてあった手をひっこめ、近くにあったイスにドカッと腰掛けた。



「まァ落ち着け」
「おッ、落ち着いてられるかァ!」
「ドフラミンゴさんお茶です」
「酒はないのか?」
「今飲んだらどうやって帰る気ですか。途中で海に落っこちますよ」
「フッフッフ!そんなヘマはしねェよ、オレァ」
「でも今日はお茶で我慢してください。ほらシーザーも座ってお茶飲んで落ち着いてよ」
「シュロロロ!ナナシの頼みなら仕方がないな!」
「はいはい」



シーザーのお茶をすする音が部屋に響く。ちなみにドフラミンゴさんはまだ手を付けていない。とりあえずやっと静かになった。



「シュロ…ナナシ、お前もこっちへきて座れ」
「え、いいの?」
「オレの隣ならな」
「はーい」
「で、何だ用ってのは?」



ふとシーザーの顔を横目で見れば、先ほどとは違う意味で口角が上がり、ニヤついていた。一言でいえば悪い顔だ。普通の人が見たら怖くて逃げだすかもしれない。



「お前、人は足りてるか」
「シュロ…人、というと?」
「研究対象としての、だ」
「なんだどっかから連れてきてくれんのかァ?」
「事情があってな、悪魔の実が思っていたよりも必要になった」
「あァ!?もう今の状態で手一杯なんだよこっちはァ!」
「だから人が必要なら用意してやると言ってんだ、フッフッフ」
「…いつ連れてくる」
「ここに連れてきやしねェよ。お前が選ぶんだ」
「ハァ…?」
「シャボンディ諸島にオレの経営してるヒューマンショップがある、そこから好きなのを持ってけ」
「ヒューマンショップって?」
「あァ、いい、何も気にすんなナナシ」
「なんだ、ナナシにはなんも言ってねェのか?」
「シュロロ…!そこまでお前に干渉される覚えはないが?」
「まあいい、興味があったらシャボンディ諸島に行け。いつでも話を付けられるようにしておく」
「ああ」



二人が私の知らないことばかりを離しているもんだから、まったく話についていけない。むしろ、ここにいてよかったのだろうかとさえ思う。研究対象として人を使うって何なのだろう。シーザーは未だに私に隠していることが多い。



「―話は終わりだ」
「そうか……どうやら本当にオレのナナシに会いに来ただけのようだなァ…?」
「だからそう言ってるじゃねェか」
「あ、もう帰っちゃうんですか?」
「ああ、また来るからな」
「アンタは出禁だ!」



シーザーが私の前にサッと立った。私は後ろから顔だけ出すようにしてドフラミンゴさんに話しかける。



「また来てくださいねドフラミンゴさん」
「ああ」
「シーザーの話し相手になってやってください」
「なっ、オレの話し相手はナナシだけで十分だ!」
「それだと私が大変なの」
「!!?」
「フッフッフ!イヤになったらオレんとこへ来いナナシ」
「アンタはさっさと帰ってくれッ」


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