:: We don't have a ship!
ついにシャボンディ諸島に向かって出発する日が来た。もう今からワクワクが止まらない。おかげで昨日の夜はよく眠れなかったよ!お小遣いの件はシーザーに交渉という名の泣き落としを使ったら渋々10万ベリーをくれた。渋々で10万って金銭感覚ズレてんじゃないかとさすがの私も思ったけど、貰えたからまァ気にしない。
「シーザーァ、早く行こうー」
「シュロロロロ、だが問題があるぞナナシ」
「問題?」
「オレたちには船がない」
「………」
「………」
「……、もうシーザーったらー」
「ん?」
「私たちには悪魔の実の能力があるじゃない?」
「そ、そうか…!」
いつも研究所内をガスになって自由に移動してるくせになぜ今それを忘れていたのかが不思議で仕方がない。もしかして世界一の科学者はバカだったとか?想像すると笑えてくる。
「でも、島までは距離があるんだぞ?」
「…シーザーおぶってよ」
「はァ!?ナナシだって能力あるだろうが!オレの授けてやった素晴らしいキリキリの能力が!」
「でも遠いんだから着くころには疲れちゃうよ」
「ならてっとり早く船を見つけて奪い取るか」
「それ大丈夫なの?」
「オレの能力に不可能なことはねェ!シュロロロロ!」
「ならそれでいいから早く行こ」
「おォ、今日のナナシはドライだな…!」
私たちは研究所を出て、各々の能力で姿を消し海上に浮かんだ。はたから見れば大気の一部だけ霧とガスが混じっているのだから異常現象のように見えるかもしれない。そうなると、初めから能力だけで島に辿りつこうという考えは無謀だったようにも思える。私はしばらくして少し遠くの方に船らしき影を見つけた。目を凝らしてみると、どうやら海軍の船ではないようだ。
「シーザー、船来たよー」
「よし、あれにしよう。行くぞ」
「うん」
私たちはサーッとその船めがけて進む。甲板の上付近へ行くとシーザーは能力を使って素早く全員を眠らせた。こうして私たちは無事?船を手に入れることに成功したのだった。
「シュロロロロ!さすがオレ!」
「ねえ、シャボンディ諸島ってどっちー?」
「そんなのこのオレが知るわけないだろう!」
「ちょ、辿り着かなかったらどうするの!」
「そんな焦んじゃねェよ」
「その余裕はどこから出てくるのか教えて、ほんと」